VOL38-2 採用最前線から 2000/9/14

仲間を増やそうと、知己を通じていろいろと情報にアンテナを伸ばしてきた。ハード・無線・ソフトとようやく第一ステージを終えて教育実践の段階に入ろうとしていた。Quad社では、社内体制がすべてイントラネットで明らかになっている。上司関係と役職、人の検索といったごく普通の項目である。東京オフィスでのソフトチームも若手社員を向かえることで若干の変更が図られた。

東芝から迎えた同僚と話をしていると彼も自身の役職が変わっていることに気が付いた。Staff EngineerからMgr Engineeringとなったのだ。「これって部下をつけるからでしょうね」と互いに話した。名刺の更新は、事務所移転と合わせて実施すればよいので二週間ほど先延ばしにした。

さて、次世代通信が混沌とする中で米国内ではAMPSからGSMに移る動きも急だ。Quad社のチップもGSMなどとのデュアルモードをサポートしていくために、こうしたライセンスホルダーとクロスライセンスをしていくことが必要になる。従来からの独占的なCDMAパテントライセンスにもとづく商売形態との親和性を図るために、このパテント問題を拡張していく考えに基づいてQuad社自体は、分社することになった。当然、東京オフィスもその対象である。

実際に従来の本社機構は、次世代の移動無線業界に対しての戦略的投資拡大をしていくのに対して、半導体部門は実際の開発成果をソフトとチップとにして提供していく事業である。チップの販売というプロセスの見直しも行うために東京オフィスでは新規に会社を二つも興すことになった。Spincoと現在呼んでいる新会社は、分社予定の会社の略称でありまだ名前は募集中である。このSpincoに大半のメンバーは移籍することになるのだが、チップ販売輸入のためのプロセスを行う会社も興す必要があり、現在の東京オフィスの社長も三つも兼務はできないということになった。

「皆さんは、自分たち仕事を日本サイドで管理できる職責の人を知己を通じて探してきてください。」・・・と現社長が語っていた。探してこないと米国から一方的にヘッドハンターなどでしょうもない人間をやとうことになるだろうとも言うのだが・・・。

私たちは上司は選べないのが普通だが、こうした出先事務所のような組織としての上司は別かもしれない。「私たちの社長になってくれませんか・・・。」というのもヘッドハントになるのだろうか。米国の会社であり、チップ開発やメーカー支援の業務や技術に明るい英語堪能な明るい人ということて考え直してみると、そんな上司がいるのなら会社を辞めてはこないのではないかという思いとかが錯綜してくる。

上司を選ぼうと考えて事はないが、長い会社生活の中で大会社初芝の中でも多くの上司先輩の方々に出会い、素敵な立派な方も多くいることについては異論はない。しかし、こうした人材がいるのであれば、屋台骨を抜き出してしまうようなものでもある。こうした資質があるのだが、隠れた逸材で・・・ということはここまでくればあり得ない話になってくるよにも思うのだ。採用が一段落したかと思うと、また悩みが増えてきた。

今の社長は、Quadジャパンを立ち上げてきた逸材だと思うが、こうして自分の後任ではないにしても分社の社長を部下に探させるのもつくづくベンチャーだなと納得させるものがある。一昨日怪しげな間違い電話があった。Quad社にはいない人物を名指して電話だった。Quad社では各人が専用の番号を持っているので、私の番号にかけてきたのは何かそうした情報からであるに違いなかった。昨日またわからない電話がかかってきた。

「昨日もお電話を差し上げましたがという・・・人からですが」という電話は今度は代表にかけてきて私を指名していた。電話に出てみると、何の事はないヘッドハントの電話だった。米国のトップメーカーで技術者を探しているからとのお話だ。折角だが現職での取り組みに今は満足しているので断った。条件がわるいのかといろいろ食い下がってきたがこの手合いの話で日本語があまり十分でない外人が下手に出てきているのと話すのは誤解を産み易いのできっぱりと断った。

転職予定のAさんが、同様な状況にある無線技術者の紹介をしてきた。個人的な理由もあったのだろうがQuad社の門戸を叩いてくる無線屋にはあってみたい気がする。転職予定のAさんは、この無線屋さんに当面の作法を伝えていた。
・個人用のアドレスを持っておくこと。
・個人用の連絡方法を持っておくこと。
・会社には、転職先を伝えないこと。
だった。こうした状況は実は現代の技術屋さんの普通の状況であることに思い至り多くの技術屋を抱えている品川の会社が流出に気にしないのはそうしたことは止められないと達観しているからだろうか。

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