VOL56 21世紀への仕掛花火 発行2000/11/13

新世紀を前に、私はいろいろな仕掛けを準備しているのだが、周囲からの誤解も多いようだ。携帯端末開発メーカーのビジネスモデルの刷新ということは、ある意味でi-MODEで経験されていることと思っていたのだが・・・。WAPのベースは時代が要請として生み出された背景がある。そんな仕事をしていた自負があった。しかし、WAPというモデルよりも楽しいことが出来て広がりが生まれるということでi-MODEが離陸したのだった。

今は、そんな状況に近いのがJavaの担ぎ出しである。JavaはMIDPやCLDCという標準化の中でデファクトになっていくのだろうが、逆にcHTMLほどのインパクトは無いのかもしれない。世紀末ということでの反省は、端末ビジネスのJavaでWriteOnce Do Anywhereを実現しても出来ることの対価と実現するための対価とを比較した議論が十分ではないようだ。障壁は常にサーバーにあるということだ。そうした障壁を打ち崩すには、端末同士でのアプリケーションになるかもしれないし、強靭なサーバーを安価かつスケーラブルに実現することかもしれない。

Java高速化技術もチップと組み合わせで考えると出来そうな時代に21世紀はなりそうだし、あまねく売っているチップの上にプラットホームを構築するという考え方も有用だろう。スケーラブルサーバーの技術ベンチャーの社長が来日した。初芝時代に出会ったベンチャーであり紆余曲折はあったものの今限りなく光り輝く状況のなかでまさに離陸しようとしている様子だった。物作りという次のフェーズがあるものの次の世紀の主役になるだろう。ケータイの対極の技術かもしれないのだが、こうした技術が無いとケータイが売れなくなってしまう。

そういえば、かつてBASICインタプリターの高速化を目指してパッシブ方式のインタプリタを開発したのだが・・・。先日Javaの高速化技術の話を聞いて、同様な技術であると認識した。そうした話をしようとしたときにベンチャーの人間は耳をふさいだ。基礎技術としての考え方で言えばそのパテントは有用なものであったのかも知れないが、時代に先行しすぎたのかも知れない。ケータイソフトウェアの高速化方法論としてJavaアクセラレータはこれから必須のアイテムになるのかもしれない。日常の中で気になったアイデアをゆっくりと考える習慣を持つ技術者の育成と最近の仕事のスタイルはマッチしているのだろうか。

こうした検討をすることが、チップ事業を営んでいる弊社に要求されるのであれば、そうした人材も更に求人していくことになるだろう。こうした研究を長らく続けてきたメーカーもあるだろうが、実際のパテントやビジネスというものにうまく繋がってきては居ないようだ。標準から外れるとか、デファクトでないとかいうことで眼鏡を曇らせてはいけないのだろうと思う。だれがVisiCALCのApple2の後に現在のMicrosoft思い起こしたのだろうか。そうした夢物語を語りつつ、ビジネスチャンスを話して誘うことは私にとっての素直な行動であり、独り言の所以でもある。業界の夢を語るメーリングリストがあってもいいじゃないかとは、勝手な弁でもある。

しかし会社という枠組みをこえた行動はメーカーの商慣習を揺るがしてしまうのかもしれない。ベンチャーとしての有りようではあると思うのだが・・・。

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