VOL57 展示会あれこれ 発行2000/11/18

昨年の組み込み開発環境展(ESEC)は、自身の転職の悩みの渦中であった。組み込みにフォーカスした展示会は幾つかあるのだが春のESECと秋のMSTである。この業界で20年現場を続けてくるなかで、知己も増えてきた。「国内の通信機業界での転職は、メジャーではないよ。」という某社の社長がいる。「毎月5名もとっている会社もあるようだし・・・」というと、「このご時世で毎月五名も増やしているのは怪しいんじゃないか」とコメントを呉れた。確かに、不景気な世の中で見れば怪しいという分類にも括られるだろう。

初芝通信時代に出来たこうした繋がりは、関連情報を得るのにも有効に作用する。Quad社が直接手出しはしないものの、関連してくるカスタマーや最近の3rdパーティとの連携などからも今まで以上に情報は必要になってくる。チップベンチャーとしてのQuad社は良くも悪くも米国の会社である。日本での展示会で見つけるべきは日本のベンチャーの技術であることに目的の相違は無い。米国の技術を日本の展示会で見つけて米国にフィードバックすることの意義はあまり見当たらない。とはいえ、知り合いから紹介される話は、まず聞くことが必要である。

消費電力低減は、携帯業界でのキーワードである。幾つかの関連技術が日本発でありながら埋もれている例がある。今回は、データ駆動型プロセッサを逞しく続けている会社の方と話をした。OSなしでデータが無いときにはハード的に待ちに入り電力が停止する・・・というのは究極の技術であるはずだ。もうこの技術が登場してからアプリケーション応用を模索して既に10年あまりは経過しているようにも思う。家電画像処理の端末にようやく離陸しそうだという。

ハードウェアとソフトウェアの巧みなコンビネーションの技術も要注意である。ソフトウェアだけをフォーカスすると見落としてしまいがちな話も多い。iTRONのカーネルをハードウェア化するというユニークな取り組みをしている豊田高専の先生は前から注目していたのだが、大学関連の発表の中で紹介されていた。期せずしてお会いしてお話することができた。

Quad社のチップセットにもこうした取り組みを反映すると単に内蔵キャッシュを増やしたりせずに性能向上を図ることがチップ面積からみたコストとしても安いというような経済観念を持つ必要がある。こうしたSEの意識をもちつつの外資ベンチャーライフも中々楽しいものである。隣のレーンしか見えないような仕事の仕方ではない。

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