VOL82 採用というプロセス 発行2001/2/17

独り言を書きつつ、足掛け三年目になった。相変わらず人探しを続けている。独り立ちできる通常の技術を持ち合わせて英語で自分の技術を語れる人が私たちの求める姿である。国内向けの開発をしている中では、ドキュメントで読みこなすことしか発生しないので英語の力は伸びないのは致し方ないと考えるようになっていた。技術力は日本の先進性からアプリケーションなどから見れば優秀な点は認識してきていた。

仕事として採用プロセスを行うのだが、色々な人が挑戦してくる。英語能力と技術能力にバランスが取れているような人は仕事が順調に推移しているのか転職にチャレンジしてくるような人は少ないようだ。英語の能力を抜きにすれば国内のメーカーで活躍できそうな光った人もいる。逆の人もいる。英語の能力では問題がなく、実際に海外メーカーで仕事をしているという人も。技術的に疑問の残る人が逆に多かった。

300人近い技術者を束ねている技術リーダーという職責の方が転職に訪れたこともあった。国内のトップメーカーの立場で転職したい気持ちはきっと別の達成感を求めて、やはり管理志向でない仕事にチャレンジしたいという年齢的な悩みなどからのようだった。

まったく英語については出来ないという様子にうそは無いようで彼のやりたい仕事を弊社で進めていくことは適わないようだった。彼がそのメーカーで達成してきた大規模な開発プロジェクトで分散した複数の開発プロジェクトを束ねていく為の開発プロセスの改善などは逆に弊社でも学んでいくことが必要だとも思うのだが、彼が、やっていきたい仕事ではないようだった。

携帯開発にチャレンジしたいという意気込みでやってきた若者もいた。DSPを得意とするという技術屋さんだったが、残念ながら日本では開発はしていないので開発業務をしていきたいという想いは遂げられそうも無かった。後日、協業しているベンチャーのDSP系ソフトハウスの方と話をするなかで求人の話が出て彼を紹介することにした。何か仕事で接点が出来るかもしれない。

アマチュア無線機のメーカーにジョイントしてアナログ無線技術を身に付けつつ組み込みマイコンでアセンブラベースの開発を重ねてきた人もいた。MCUの経験から海外マイコンメーカーの支援技術者(FAE)としてここに転職して経験を重ねてきたのだが、ここでは英語はEmailでしか必要がなかったようだ。QUAD社での実情からみると同一職種でありながら意味が異なるように感じた。現在は、別の会社に移籍して組み込みマイコンのソフトウェア開発をガンガンやっているようだったが、RTOSベースでマイコンに近い環境を構築している現状には戸惑いを隠せない様子だった。

支援技術者という仕事は、ある意味で対等に話し合うのはメーカーの部長さんクラスであり、彼らの仕事を進めていく上での技術提供メーカーとして日本部長の位置付けであると考えているのだが、同様に技術問い合わせに対応していく段では現場の最先端技術を利用するうえでのお客様からの質問に答えていくという細かい部分にまで対応していけるプレイングマネージャーの雰囲気である。

現場での作業に目を配りつつ、日本の色々なメーカーの方たちの製品開発にタッチしていくという楽しみは中々味わえないものである。若い技術者の方には理解しがたいものかもしれないし、そうしたネットワークを構築して最終ユーザに良い製品やサービスを提供していければ、わたし的には大満足な日々であるのだが、メーカーの開発プロセスには軋みも生じているように感じることがある。採用というプロセスもあれば、その逆のプロセスもあるということを認識して日々研鑚に努めてもらいたいものである。

さあ、次には何をしていこうかと方向転換を出来るような実力を皆が身につけていれば支援技術者の仕事は楽になる・・・。とすると、わたしの首が危うくなるのか。私自身も日々研鑚はしているのだ。また何か楽しいやりたい仕事が出てくるに違いない。自分の仕事をプラス志向で減らしていけるように努力する。マイナス志向で減らすのは簡単なことなのだが・・・。生活はしなければならないのだ。

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