業界独り言 VOL196 ラブコールは永遠に

いよいよ第三世代がUMTS仕様で励起しようとしている。欧州の期待が、ここ日本でのJVとして結実するのだろうか。いま電機業界では3Sと呼ばれている会社には元気があると言われている。従来の関西・関東といった区別はなくなっているらしい。垣間見たメーカーの技術者の技術力と、その会社の製品力との相関関係はあまりないように映るこのごろでもある。となると技術志向に走っていた会社がうまくいくいっているとも限らないようだし、技術動向を的確に見据えつつ戦略をもって進めているところが、結局はビジネスに繋がっているようにもみえる。技術動向を見据えて現時的なスケジュールへのマッピングを進めていくことが出来るのかどうかは最先端とはパッチだらけの現実を理解しているのかどうかということにも繋がっている。

しかし、3GPPの実ビジネスをUMTSとして推進しているという、ごく当たり前と思われることが最前線では異様に見えてしまうのは何故なのだろうか。出てくる出てくるといわれる次代の他社チップセット達との接近遭遇もままならない。3GPP関連のメーカーで働く人々のうち外資系の方達からの職務希望の申し込みが続いているのだが、キャリアマップが合わないか、若しくは物作りに邁進したいという希望の方達にとってのQuad社のビジネスは魅力的には映らないようだ。無論、説得のためのラブコールは懸命に事実を着実に伝えている積もりだし、当初はあまり興味を持たれなかった応募者の気持ちに火をつけてしまった事例もある。ただ惜しむらくは、彼の場合にはスキルマップがマッチしなかったために適わなかった。先にスキルマップの照会が為しえなかったのは残念な限りだ。

3GPPメーカーの実情は、携帯バブルを反映して厳しいものとなっている。先行国内オペレータの投資冷え込みなどが影響をしているメーカーもあるようだし、最近ようやくオープンしたYRPのホテルなども集客のあてが外れたという状況らしい。堅実な開発ということに立脚しているのは、期待する未来に向けて着実な答えを求める最終ランナーたちといえるのだが、重荷となっているのは開発状況とサポート開始時期の整合性であるようだ。相互接続性試験が各インフラベンダーとの間で実際に進行しているようなのだが、実際問題として国内でサービスインしようとしているすべてのインフラベンダーで相互接続を果すのは至難の業であるようだ。ようやくそうした難題が解決出来るようになった状況が出来、最新パッチが集約されていく。それにしても3GPPの機能をカバーしていく道のりは長い。

Layer1,Layer3そしてUSIMでありPS/CSのサポート、またUDIなどのデータで実現すべきインターネットなど果すべき相互接続性でのテーマは各インフラベンダーの数だけ組み合わせが存在している。むろんUSIMにすらバグや機能もれなどがあり、なかなか最終形態としてのお勧め組み合わせまでが定食メニューで揃えられるというところに持ち込むのも難しいようだ。プラットホームビジネスと言うは容易いが、実現していくためのハードルは大変なものなのである。こうした実践を通してそれなりの回答を用意して対応策を提示するものの、これらへの評価は殆どといってよいほど為されないカタログスペックでいうペーパーマシンをベースになぜか仕事が進むのは、最近の技術者がリアルワールドからバーチャルな世界に住んでいるからなのだろうか。

現実世界としてインターネットへの接続をISDN網でサービスしているISPと接続してみると何故かLSB/MSBが反転しているという事態だ。3GPPネットワークと2G世界との接点には、日欧の壁があるようだ。3GPPにはデータ送出順はLSBと明記されているのだが、MSBから送出しているという現有のISPの事実には、まだ謎が隠されているようだ。通信の歴史から見れば、LSB送出が自明なのだが身勝手な歴史を無視した愚行が露見した事態とも言える。とはいえ、そうした事態を引き起こした張本人はいまやどこかに雲隠れしているような事態である。そういえば、今は無きテレターミナルの開発の時代にもビット反転していたような気がするのだが、あの時はLSBに合わせていたはずだった。今3GPPの世界ではパイプはトランスペアレントで端末とISPの間に反転が生じているのである。おかしな話しである。

組み込みという現実世界を離れて。仮想世界でのみ暮らしていこうという上流設計を行うエンジニアも確かにいる。こうした人たちから見れば、3GPPの相互接続性など出来て当たり前という世界であり何故出来ないのかと訝しげに見ているだけなのかもしれない。組み込みに携わっている実世界の設計テストデバッグを追及している人たちにしてみればシステムが巨大で自分達の確認している内容とのマッピングが出来ずに要求内容を正しく把握し得ないままに設計しているのかも知れない。それでも、開発という名前の業務に憧れていく人は多い。苦労は買ってでもしろという若いうちという時代であれば、どちらも一つの選択肢でありキャリアとして大切にしてほしいものだ。自分としてのスキルを積み上げていくという考え方に立っていかないとこうした時代で突然に失職という憂き目にあうのかもしれない。

既にRF技術者の方々のうちに基本を押さえていなかった方達などは、チップメーカーから提供されるZIFチップの登場によりソフトウェア技術者として転身せざるを得ない状況に陥ったりもしているようだ。知人のK君なども最近はすっかりチップ技術者としてLSI開発の上で実現できる方策と完成後の使われ方などの両面からとらまえつつシミュレーションに明け暮れる日々らしい。彼もまた、自分が提唱するチッププラットホーム構想への賛同者を社内にむけてラブコールをしているものの永い透徹した眼で投資や指導をしつつ未来のビジネスまでのパートナーになってくれる伴侶にはなかなかめぐり合えないでいるようだ。ラブコールで理解をもらえたというトップとの訣別など人生はままならない。

私がラブコールを送る相手は、3GPPの将来を現実からのステップも含めて理解されていて、こうした大変な状況の業界にあって技術提供を行いつつ自分の今までの経験を武器に一つ上のコンサルティングという視点も加えて自身の無線通信機器開発でのソフトウエア技術の集大成を行いたいと考えていけるような人材である。無論、ラブコールを送る相手とは片思いであることが多いのは致し方ないことである。組み込み開発業界という特殊事情の中で、ごく当たり前と思われる基本的なソフトウェア技術が軽視される昨今にあって広範なバランスの良い技術を身に付けた技術者の一クラス上の活躍できる場所というのがラブコールのメッセージなのだ。

ありたい自分を目指すという普通の姿が最近では見られなくなってしまったということなのだろうか。ソフトウェア技術の集大成を目指すということは、聴診器をあててシステム問題を直せるという内科医であるドクター・ホワイトクイーンのようなものなのだ。3σの外側と言われて久しい昨今であるものの、この業界にまともな意識を持ちつつありたい自分を実践するための方策を捜し求めている仲間がいるに違いないと信じてラブコールを続けている。技術コンサルタントを目指す人たちの活躍の場所あるいは、修練の場ともいえるかもしれない。楽な仕事ではないが、やりがいのある仕事だといえる。最大の効率を引き出しつつそうしたありたい姿に向かっていける人こそわれわれの求める人材であり業界をサポートできる人材なのである。

今が忙しいからと心を無くして自分を大切にせず無為な時間を過ごしている技術者がいるとしたら、有りたい自分に向かっての取り組みを努力を続けていってほしいと思う。二年ほど前に、便りをくれたH君などは当時は英語がネックでとはにかんでいたものの今ではありたい自分に向かって邁進している様子がメールの節々から感じられるのだ。青い鳥症候群からは脱しているようで安心している。UNIXウィザードで鳴らしている若者も実務との接点を模索しつつありたい自分の追及は欠かさないという元気な姿で会社では暇にしているのを装っているようだ。忙しく自分を捨てて仕事に没頭しているという姿が、自分の本意なのかどうかを今一度振り返りつつ自分の時間を大切にしながら仕事を通じて自分自身の有りたい姿に向かって進んでいってほしいものである。

自宅サーバーの環境整備などをしているのは、私自身の爪砥ぎのようなものであり、いろいろな方策の可能性などを楽しんでいる趣味の世界ともいえる。仕事でするのなら、出来上がっているサーバーに合わせた運用をするというオプションもあるのだが、こだわりを入れて楽しんでいるのである。旧型マシンの大きな筐体のディスプレイを液晶でリプレースして、広い机を実現しつつ次は大きな本体をバッテリーで動作が出来るような中古のラップトップでの置換を果そうとしている。生憎とLANコネクタが壊れてしまっているようで無線LANカードやUSBLANアダプターなどをLinuxカーネルの対応で動作させようとしているのは、趣味と実益を兼ねているからだといえる。マシン環境の引越しと物理ロケーションの引越しと引越しつづきなのだが、今の仕事環境にはまだまだ引っ越さずに追究したいものがある。

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