業界独り言 VOL330 次のステップへ

今日が、年末最終営業日だとの認識を突然もたらされたのは、ミーティングの中でだった。確かに部下からの休暇申請に対して許可の応札をしてきたもののオフィス全体での年末休暇は28日からだと認識していたのだった。すでにクリスマス休暇の四連休にサンディエゴは突入していて火曜であっても米国からのアップデートもない状況で日本オフィスとしての年末の業務連絡を確認するというのんびりしたものだった。いろいろな拡大に向けて技術開発やベンチャーの買収などが続いている中で関連する日本人メンバーも増加していたので、新しいメンバーの紹介ということも次のステップに向けて必要なアクティビティであることは確かだった。

気がつけば、ビジネスモデルを共有しながら違った切り口のメンバーが集うようになってきた。ベンチャーであるQuad社ゆえに類は類を呼ぶなのか、仲間を増やしていくことでビジネスの効率を上げていくといった目的もあるだろう。どんな次のステップが待っているのかは、なかなか自分たちでも見極められない。良かれと思って提案することが、断られることもあるだろうし混沌のままに過ごしていることをよしとする日本企業もあるようだ。国際競争力を・・・と求められながらも自分たちで作ってきた世界に必要なコストや仕組みを変えることもないままに競争を繰り返してきている特殊な状況が日本の実情でもあるようだ。

次のステップに向けて会社生活42年に終止符を打った先輩もいるし、最初の会社生活をテンポラリで始めて正社員になりトータル六年余りの経験をベースに自分の夢を育てる次のステップに向かうという若いメンバーもいる。 社会経験としてのステップから新たな展開に進むという選択などもよいことだろう。模索しながらの人生であり、自己の夢として追求してきた音楽の道を志して、ボストン留学で学芸の道を進むという選択になるというのも痛快でぜひ応援をしていきたいというものである。年末には最後の彼女のライブがあるようだが、ぜひ学ばれた成果としての帰国ライブには拝聴させていただきたいと思うのである。

Quad社というホームグラウンドを共有してうたかたの仕事をしているような状況を続けていくのかどうかは、まだ分からないけれども技術者という属性を背負っている限りにおいては何か夢といったうたかたの状況を追いかけているのがこの上なく好きなのではないだろうか。夢と現実の間に挟まれたときのバイブルを自身の中に保有しながら確認しつつの仕事を進めていけるのかどうかは鍵だと思うのである。 まあ、バイブル自体の更新もあるのは人生なのだろうけれど・・・。

どこかで拾ったアドレスデータに基づいて一生懸命に転職斡旋をしてくる電話パターンがある。何度も気長に掛けてくるものもあれば、初めてだがといって掛けてくる手合いもある。いずれも英語で掛けてくるのでクライアントは日本メーカーではないのだろう。断り続けているのは転職以来なので、転職するとそういったデータベースに登録されてしまうのではないかと勘繰ってしまう。 まだまだ楽しみはこれからなQuad社の状況よりも面白い仕事があるものかと思う反面、次のステップに何をすべきなのかを考えても良いかと思ったりもする。

年末に二度目の賞与封入があった。確か先月もらったはずなのにと思っていたらベンチャー気風を高めるための社内アワードの創設アナウンスがあり、Quad社としてのWCDMA開発の挑戦に貢献したかどで表彰された件の報奨金だったようだ。既に豪華な盾はもらっていたのでそれだけだと勝手に思い込んでいた。HDRをはじめとする挑戦の気風にほだされて転職決意した経緯ではあったものの、さらなる挑戦風土としてのWCDMAビジネスへのチャレンジには携帯業界の荒波の中での実にベンチャーらしく頑張ってきたQuad社の勢いがあった。そんな渦中のリーダーの名前を冠したアワードでもある。一昨年末に開発渦中で急逝してしまったリーダーではあったが、日本メーカーや日本市場をベースにした標準3GPPの流れに純粋に則った正統派としての挑戦でもあった。

そんな挑戦から五年あまりが経過して、今回卒業されたメンバーの庶務サポートなども思い出される国内巡業でのテスト作業支援などもベンチャーらしい経験だった。サポートとテスト支援をサイマルに行うためのモバイルオフィスであり、試験車上でのまさに動くオフィスでの経験は今後もないだろう。当初PHSカードで始まった支援活動は、名古屋あるいは東京や大阪あるいは福岡といった国内での主要基地局ベンダーの基地局エリアでの走行試験に参加しながらプロトコル開発の仕上げを重ねてきたのである。チップセットとしてWCDMAとGSMを取り込みARM7のみでともかくプロトコル開発を終えて端末作りを成功させたのは事実だし、製品化という面でいえば、ARM9の投入でワンチップでの端末開発をWCDMA/GSM機で実現したという取り組みは少なくとももっと評価されても良いことだろう。

ARM9でのワンチップ世界でミドル・ローエンド市場の開拓が出来たという事実は、Quad社の歴史にも冠たるものになった故にアワード創設ということにも繋がったのだ理解している。何せ、ボーナスというものがサラリーには組み入れられていない外資系の会社での扱いなので二度も賞与ということで与えられたことは望外にうれしいし、なくなったリーダーへの良い弔いでもあるだろうと思う。挑戦するベンチャーという流れに照らして納得いかないような会社あるいは事態に遭遇することになれば、新たな場を求めることもあるだろうが現在の社風を維持啓蒙していくことがいまや求められているということでもある。

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