業界独り言 VOL337 こんなソフト見たことない、いやかくあるべし

世の中には神様の領域にまで達してしまった人たちがいるもので、ソフトウェア開発もデスマーチどこ吹く風で軽快に忙しくソフトウェア開発を続けている人たちがいるのである。デスマーチでないからといって暇なわけではなく、簡単に有用な仕事が出来るようになるとどんどん仕事が増えてしまうのである。ある意味なんともうらやましい限りではないか、つまらないことにこだわった仕様を達成するためにいじればいじるだけ複雑さが増していきインタフェースの数だけ出荷が遠のいてしまうそんな仕事をしている人たちもいるだろう。納期優先で打ち切ってしまう人もいるかもしれないし、結局出来ないままに税金を無駄遣いしてしまった・・・といった人もいるかも知れない。

さて、私が知る神様の領域を侵犯してしまった人の一人に、Dr.Kがいらっしゃる。いつお会いしても若々しくお話をしていて時間の経過を感じないほどいつも前向きで新鮮なのである。こんな書き方をしているとよほど交流があるのかと誤解されるかもしれないが、一度お会いしてDr.Kの魔力に魅了されてしまったものの実践となる段階にまで至らぬままになってしまったのは私の不徳のいたすところであり、そんな出会いからもう10年近く経ってしまったのである。とことんモジュール化を推進していった挙句に、世の果てだと感ずるところにまで達したらしいそんな感じを当時の私は持っていた。いわゆる孫悟空の世界にも似た。しかし、あれから10年が経ちDr.Kの終わりのない活動の中で、釈迦の手の先にまた世界を見たらしいということなのだ。

私が最初に見たオブジェクト指向の世界といえば、system6に代表されるMacintoshやJstarの世界なのだが、とりわけマックのソフトでの個々のアプリケーション連携が見せてくれた世界は、それまでのDOSの世界でのモノリシックな世界とは異なった柔軟でかつ深淵なものだった。UNIXで学んだシンプルなフィルターの概念とは異なるのだがアップル社で決められたしきたりに基づいて機能的に連携と独立がうまく機能しているように感じたのであった。なにかアイデアを練りたいといった状況において、そうした創作活動を支えてくれる道具としてはスムーズに動く世界がどれほどありがたいものか。私もMacに出会っていなければ、このような人生にはなっていなかっただろう。

さて、Macとの出会いで少し覘いたオブジェクト指向の世界も、実際の実践活動に携わる間もなくいわゆる年齢制限による現場活動からの締め出しという状況に相成っていたそんな状況が10年前の私だった。組み込みの世界で20年ほど積み上げてきた様々な経験ではあったものの、大規模なソフトウェア開発をうまく終わらせていくためにはシンプルな設計での達成経験しか持ちえていなかった。ソフトウェア開発を部品段階から本当に見直して自己組織化を果たしていくような部品を念頭においてエンドユーザーが自在にシステムを組みうるようなフレームワークを作り出していったDr.Kとの出会いは私にとっても貴重な体験だった。KISとでも冠したくなる、素晴らしい部品の規格化技術と成果は、最初のWebObjectをベースにしたシステムで達成しいわゆるスミソニアンアワードを受領するほどのものとなり、独立したベンチャーとして進めていく流れの中でPureJavaのシステムとして昇華していったのだという。

積み木のようにソフトウェア部品が簡単に結合して複雑なアプリケーションやシステムを構成していく様は、まさに百聞は一見にしかずということになる。私は結局この驚きを伝えるために、さらに3回程度のアクションしかとることができなかった。ソフトウェア開発に携わったことがない人たちにとってDr.Kのフレームワークは、まさに自分が欲しいシステムを自在に簡単に構築する夢のツールだろうし、その人たちにとってはほかのシステム開発でのデスマも含めて理解しえない世界として、そのまま暮らしていってしまうのだろうとさえ思うのである。まさにエンドユーザーコンピューティングで痛快に部品が連携して動作していくのである。病院のファジイな世界すらもいくつもの独立した既存のシステム間を、このフレームワークで接続していってしまうのは世界に類を見ないものだと思うのだ。

たとえば、こんなことが出来るシステムだと思ってほしい。今は、どこの地図でもGoogleやYahooで好きな縮尺のものが手に入る。時刻表も自在に駅の出発データが確認できる。携帯ならば地下鉄の乗り口の指示までもルート情報に教えてくれるのである。こんな状況の中で得られる個別のデータ同志を重ねると自動的に地図の上にルートが表示されて時間経過とともにアイコンとして自分のアバターが動いていくようなものであり、現実世界の情報更新を重ね合わせれば必要な判断として事故やそうした経路情報の変化などをその地図の上に吹き出し説明付でオプションを示していくようなものである。こんなことに準ずる事が病院のシステムであれば所要の各サブシステムが保有するデータにもとづいて電子カルテや処方箋の発行などのシステムとして自在に構築できるといったものなのである。

ソフトウェア開発に対して敬虔な気持ちを常に持ち続ける信仰心が、いろいろな神様との出会いをもたらしてくれるらしく、私自身にも今、また神が降臨しようとしているのかも知れない。いや単なる神様のメッセージの自動書記なのだろう・・・。

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