業界独り言 VOL347 チキンと卵

携帯電話業界は、どこに向かっていくのだろうか。クロック1GHzのモバイルプロセッサが登場して重厚な味わいのLinuxやWindowsまでも実用化領域に持ち込もうとしている。無論かつての150MHzでの時代にテレビ電話と3GPPが稼働するような環境を構築してきた所謂携帯電話プラットホームも生き永らえている。より楽しいアプリケーションを実現するための方策とは何かというのは根源的な問いかけかも知れない。何よりも何がより楽しいアプリケーションなのかという問い事態が判然としないし、またその事が判っているのならば既に答えや方向性を見つけているということになる。

CPUのパフォーマンス競争は、インテルとAMDの間である意味で繰り返して進められてきていて、その結果を無残にも食い尽くしてしまうのはアプリケーションやオペレーティングシステムである。携帯電話プラットホームとしてある意味で通信キャリアを軸に垂直統合モデルとして開発が進められてきた歴史は、バベルの塔となり各OEMレベルでの構築は難しくなってしまった実情がある。通信キャリア自身が開発主体になったり、チップベンダーと協力してフィールドテストを積極的に行っていたりもする。

プラットホーム開発の大切さは、北欧ベンダーが自社環境としてOSベンダーを囲いこんでしまうような実情からも明らかだろう。かつての日本メーカーの元気な姿は、そのまま隣国にキャッチアップされてしまった感じが否めない。無論今となっては大きく逆転されてしまっている。鎖国政策をとってしまったツケが箱庭あるいは盆栽の世界を醸成してしまったようである。箱庭のような市場だと見るならば、身の丈をあわせるという方策もあるのだろうが、箱庭ならぬ箱根細工の細密さを求めてしまってきた流れには抗いがたいということであるようだ。

垂直統合モデルが、こうした状況で霞みつつある中でキャリアが気を吐いている事実もあるものの、無策な政策国家である日本という土壌で、能天気な政策としての助成金政策を禁止するという流れでさらに萎縮してしまっている。萎縮した流れの中でキャリアが先陣を切って開発を進めている事例などでは、より元気を出して欲しいものだが、文化の異なる中での主客転倒した形での開発運営のビジネスモデルはチキンと卵の状態を呈することがままあるようだ。

誰かが踏み出すべきなのだが、兵器商ではないが道具屋が戦争のための道具を突出する形で特定のキャリアに提供するということを期待されても仕方がないと思うのだが、何かがおかしいと思われる。そこは、やはり自立してチキンとしてほしいのである。

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