業界独り言 VOL325 Morrisonあるいは森村と呼ばれる仲間

このところ頻繁に米国と日本を行き来することが増えた。10年パスポートも傷んできたために自動チェックインの機械でのOCR読み取りに支障が出てきている。来年までの期限なので更新は、それまで据え置きたいという話でもある。 仕事として忙しいのはありがたい限りであって、Quad社としてのビジネスが評価されていてのことでもある。最近ではQuad社の戦略解説を行う書籍が国内でも登場してきたことも、そうした状況を反映してのことだろう。弱者に厚く、強者に冷たいと揶揄されることもあるらしいQuad社の戦略は任侠道の延長線にあるのだろうか。

表題の名前は、モリソンと読むのであるが、この日米ハーフの仲間が自らを漢字で語らったりするようになってきたからでもある。米国の仲間からは、さらに「モリムウラ」と呼ばれたりするようになっていて打ち解けた中で彼の中にあるハーフの特性をよく理解して難しいお客様との間で最前線に立つ彼を通して最先端ビジネスモデルとして追求をしているプロジェクトの要となっている。彼自身は、端末メーカーの出自であり、UIが専門である。今ではバイナリ実行環境の最新世代を新プロジェクトに適用すべく邁進している。ある意味でWindows3.1からWinowsME,WindowsXPに移行する流れにかなり似ている部分がある。

最近ではプラットホーム化を進めていく流れであり、メーカーの壁を越えてすべてが画一的になろうとする中で、基本をあまり押さえていないままに現状のソフトウェアを開発している人が多いのでは・・・といった現実によく遭遇する。通信キャリアがきめ細かく指定してくる仕様の実装をすることに腐心したりするというのが実情で、端末としての在りようにまで思いを向ける人は居ないということでもある。基本プラットホームの共通化といった流れにあっては、核心部分に携わりたいという思いで出向したりするという流れが出てくるだろうし、そうした仕事に携われない人々はメーカーが期待する合理化の流れで新たな差別化の部分に投入されていくことになるのだろう。

技術開発会社としての位置づけで、基礎開発と商用開発のサイクルをパテントと関連付ける流れで実現しているQuad社の動きは、先のQuad社を取り巻く著作が刊行されるまでには、正しく理解されていなかったようだ。それはQuad社との契約を結んでいるメーカーにとっても同様な部分もあっただろう。自分たちのビジネスを推進していく中でほかとの比較などが第三者として落ち着いて見ることは難しいことでもあるからだ。携帯電話という製品を取り巻くさまざまな技術に対して、チップあるいはソフトとして実現していく流れをトータルで見ることが出来る立場で仕事をするというのは、従来はメーカーでこそなしうることだと思ってきた。国内の第二位・第三位の端末メーカーが合併して技術開発会社を目指すという発表は、そうしたことの難しい現実を顕しているようだ。

基礎技術を開発提供して、製品化のプラットホームを構成していくことに貢献していくことが、従来であれば会社の研究所としての役割だっただろう。今では、キャリアあるいは多くのお客様との打ち合わせを日本あるいはサンディエゴで重ねることで検討し試作し評価フィードバックを受けて完成度を上げていくという流れである。基本部分を開発していくという斬新なアーキテクチャーの大風呂敷の未来への構図に向けて、積み上げていくという仕事は、自身として進めてきた仕事の本質と変わりはない。妥協を出来るだけ排してビジネスに結び付けつつ未来に向けて進めていくという仕事は、ウォーターフォールで括られてきた短期日での目標を目指してきた国内での流れとは本質的に異なるような気がしている。

製品開発という流れと技術開発という流れが相反する部分は確かにあるのだが、ともすると技術開発のクライアントからの出資が消えたりする流れに陥りやすいのが、最近の国内メーカーでの薄っぺらなビジネスモデルに起因している。研究所としての職責を果たすだけの原資がないというのも事実かも知れないし、国際競争力という観点からコスト力が低下してしまったという経緯もあるだろう。厚い技術者の層というものを活用できるのかどうかは、熱いリーダーの存在だろうし、篤いメーカーとしての懐でもあるのだろうと思うのだが。地動説や権威など現状を維持したがることが国内のメーカーの中には多いようである。

最近では、複数のプラットホームをサポートすることに方針展開をしているのだが自社プラットホームとしてのバイナリー環境でのui実現を図っていく中核として活躍しているのが冒頭の「モリムゥラ君」なのである。前職のOEMメーカーでの処遇でのUI開発の流れから踏み出して、ひとつの基本プラットホームとしての開発ステップを踏んでいく流れをユーザーである通信キャリアやOEMメーカーとのプロジェクトを率先垂範している。まだ、残念なことに彼の出自のメーカーはメンバーには加わっていないのだが・・・。国内の携帯電話開発事情は、いずこも同様な流れであり基礎的な部分への開発投資をプラットホーム採用で節減して、差別化部分注力していくという動きである。第二のモリムゥラ君を探して、基礎研究やサポートに取り組みたい仲間を探している。

大阪地区にも新しいオフィスを今年の初めから拡張して、西日本地区のお客様のサポートを手厚くしようとしてきている。メーカーとしてQuad社との付き合いがあった流れでの中核エンジニアが転籍することは増えてきているのは、自分自身でやっていきたいことと国内メーカーとして残されている部分の間に違和感を感じる所以なのかも知れない。通信キャリアやOEMメーカーのエンジニアが集いながら、彼らの古巣のキャリアあるいは端末メーカーの仲間をお客様としてサポートしていく姿は、彼らが果たしたかったことでもあるのだろう。国内メーカーにありがちなキャリア志向ではなく専門志向として仕事を続けられるオープンな風土は、エンジニアにとっては魅力的なのだと思う。

Quad社のビジネス紹介本の帯には「我々は世界のモバイル技術中央研究所になる」と書かれている。実際に一兆円に届こうとしている資金をベースに次世代に必要な技術開発を常に模索し先行して開発を続けてビジネスとしての実践をすることでサイクルをまわしている。世界中のオフィスのエンジニアとのコミュニケーションを密にして最適な技術開発を達成しようということは、そうした野望への施策でもある。オープンなコミュニティで会社の方針や方向についてのディスカッションが是正討論できるようなベンチャーとしての風土を創立して20年ほどの中で大きくなった会社でも堅持していくということが、実はQuad社としの最も強いポイントであるとも思っている。

いろいろなプラットホーム開発サイクルの中でモバイル中央研究所を持たないお客様に大して技術ソリューションを提供しつづけていくというQuad社の野望と同様な競合ビジネスも生まれてくるのだろう。同時にOEMメーカーとしての仕事から離れたがるエンジニアが増えてくるということもQuad社にとっての順風になるのではないかと期待もしている。どんな風土でそうした最先端の仕事をしていけるのかということには興味が多いに違いないし、つい最近参加を決めてくれた候補者の方の意見も同様だった。エンジニアとして真摯に技術に取り組んでいける場所を提供するというQuad社のビジネスモデルについて外部の方がまとめたQuad社のビジネス紹介本も大きな力になると信じている。

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