業界独り言 VOL331 電子工作の世界と組み込みソフトに思いを馳せる

年末の日経エレクトロニクスとCQ出版のトランジスタ技術の双方に似て非なるマイコンボードの付録がついた。日経のそれは、組み込みソフトの教育に重きを置いたもののようだし、CQのそれは実務者にとって最近のアナログ機能搭載の高性能マイコンを日曜電子工作のノリで提供しようというもののように見受けられる。確かに20年前の状況を机の上で再現できるというのは素晴らしいことだと思う。

日経の基板には、USBコネクタが半田付けされていて、そのままパソコンに接続して環境構築が出来るようになっている。まあ意識のある人には拡張部品をさらに搭載させていくことが出来るだろう。敷居が低いということは、そのまま雑誌の企画として組み込みソフトの教育でも始めるつもりなのだろうか。日経エレクトロニクスの責務とも思えないのは当該分野を担当する雑誌がなくなってしまったということかも知れない。

団塊世代の退役と共に、新人育成を余儀なくされた状況の中ではよい企画なのかもしれないが、コンパイラの世界からのブートアップを解説して教育していくことなども踏まえて紹介されていくのであれば良いのだが、いろいろな先輩諸兄が記事を投稿されている中で伝えていきたい方向性がはっきりとは感じられないようにも見受けられた。この雑誌企画そのものが日本の技術者育成よりは、アジアな人たちにとっての記事になってしまいかねないと感じるのは私だけだろうか。

まあ電子工作という観点でみれば、より実務的といえるトランジスタ技術のmsp430の基板は魅力的に見えるし制限のある開発環境もなんとかして利用してやろうかという思いにも駆られる。乾電池搭載で数年動作するというコンセプトで組み立てられると屋外機器に設置してアンテナの自動調整なども含めて敷居が低くなるような気もしてくる。電子工作のお題を提供するような趣味をもっていないと活用できないということにもなるのだろう。ペーハーセンサーを液晶表示付きで仕上げても熱帯魚の飼育をしているからとかしないと作りっぱなしになってしまう。

アマチュア無線自体はそうしたお題をいくつも提起してくれる趣味だと思う。今年は屋根にアンテナを設置しようと思うし、やってみたい課題がいくつもある。そんな中にこうした電子工作の道具立てとして登場してきたCQの基板は良いものとして利用できそうである。 机の上を片付けていきながらゆっくりと無線環境を構築していけるようなインフラ作りがまずは第一のポイントでもある。最近ではPC環境に弄ばれている時間が多いのは気のせいとはいえないようだ。ベアボーンPCという世界でプラモデルのように組み立てても無事に高度な機能が構築できるというビジネスモデルは大変な裏づけが必要なのだと最近は思い知ってもいる。

FAX兼プリンターというコンセプトのいわゆる複合機というモデルを購入したのは八年前であり、当時はそれを利用して過去のバックナンバーの技術情報誌のPDF化を実践しようとも思ったのである。まあ転職騒ぎやらの渦中で達成できないままにそれは塩漬けのままとなっている。そんな複合機自体が使えなくなってしまい、いまやFAX専用機となっているのはPCという進化途上の機械に振り回されているからでもある。当該の複合機はWindowsMEまでの技術の範囲で作られたものであり、いわゆるセントロニクス双方向というある意味で当時としては尖がった技術でそうした機能を実現していた。そうしたものはインタフェースの進化とパソコンの進化の過程で葬り去られる運命なのであった。

最近ではLANベースで共有できる双方向対応のプリンターサーバーで既にプリンターのインク状況などが家中のパソコンから確認できるまでになっていたのである。複合機のアップグレードの話になったのは、手持ちのUSBスキャナーがXPに対応しなくなっていたことに気がつかなかったからでもある。フラットベッドの複合機でFAX機能も保有している機種は少ないもののいわゆるSOHOターゲットとしてインクカラーも欲張らない仕様になっていて良心的なものだった。年末に購入して一気にセットアップしたもののトホホ神が舞い降りたのである。

結局細君のパソコンと私の会社のパソコンには無事に導入出来たものの、ベアボーンPCで構成したマイマシーンではUSB直結でなければ、フル機能を使うことが出来ないという結果で、LAN接続ではプリンターとFAX機能しか使えなかったのである。さまざまなシステムソフトが連携してインタフェースを提供している高度なシステム構成といえば、それまでなのだが「何でそんなに大変なの」との細君からのご意見は最も至極でもある。ミドルウェアを介してネットワークが供給した新型ハードウェアの認識というフェーズでカーネル落ちしてしまうのである。それもスキャナ機能のみなのである。考えられる差分についてはいろいろやってみたものの、このベアボーンにはインストールできないのである。

今、対応策として取り組んでいるのは仮想マシンの搭載でそこに機能投入できるのかどうかということにトライしているのである。トホホ神の到来もあるのだがチャレンジするテーマを与えてくれたのだという認識で対応していこうというのが今年の意気込みでもある。 アマチュア無線環境の中にCQ基板が組み込まれるのかどうかは不明だが、何がしかのレポートが出来ればと思っている。

 日経エレクトロニクスの学習基板 日経エレの付録 組み込み速習キット

 texas.jpg トランジスタ技術の付録

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。