業界独り言 VOL212 肩の力の抜き方

自宅の新築工事という暴挙に走ったのは、気の迷いだったのかもしれない。先の見えない状況でどうするのかという声もあるだろう。今のマンションの支払いが残っているので身動きが取れないという仲間もいるのかもしれない。私自身社宅、中古マンション、中古一戸建てと移り住んできていて新築を購入したことが無いことが幸いしてか残債に悩むほどの暮らしではないことが良かったのかもしれない。とはいえ下落傾向の不動産の中で自宅の売却も購入価格の半分ほどの価値となってしまうのは致し方ない。幸いと残高よりそれでも売価の方が高いことが救いともいえるかも知れない。売却損の計上で来年度は税金の還付が行われると思われる。売却損は500万円ほどになるだろうから税務署にとっても税金還付は致し方ないことだろう。来年の税金還付を細君は当てにしてパソコンのリニューアルを画策しているようだ。借金を考える肩の荷を下ろしてくれたのは細君だったかも知れない。

不動産価格の下落傾向がバブルの結果だとすれば、何もせずに高まっていったこうした資産価値というもの自体は流動的な日本の景気の指標だったかもしれないしあがり続けるはずの無いものが破綻したのは致し方ないだろう。都内を毎日のようにテスト走行を続けているのだが、新しく華々しく立ち上がったビルと共に町並みにビルごと破綻してしまった幽霊ビルも多くなってきた。ビル横の広告も会社名から貸し会議室のようなものに変わってきている。バブリーとも映っていたホテルでの会議室を借りて行ってきたQuad社のトレーニングも、昨年からこうした貸し会議室を借りたりしている。無料で開くこうしたトレーニングに対して社内研修のような意識で新人を送り込んでくるというような状況がメーカーの方には見え隠れしている場合があったりしていたからだ。まあ食事・コーヒー付というスタイルで運用してきたトレーニングを時代に合わせていくという意味も含めてよかったのかもしれない。

借りた貸し会議室ばかりのビルは店子が居なくなった古いビルで、渋谷の駅からのアクセスは便利だった。幽霊ビルのような状況は随所に見られて不用意にもたれ掛かった防火扉が止まらなくなってしまったりしたのもご愛嬌だった。借りた貸し会議室は昼間は持ち込み機材などの保全の意味も含めてロックアウトする必要があった・・・。今までのホテルでのトレーニングで配布されるありきたりのサンドイッチを食べることよりは好きなランチを各自が好きなチョイスが出来てよかったかもしれない。床や壁が傾いたような気がする、こうした古いビルの横にはマークシティの新しい高層ビルが出来上がっていたりするのは、なんだかな・・・。お客様たちは、マークシティのレストランでランチを取ったりしていたようだった。相互補完は果たされているのかもしれない。私などは手弁当だったので、お茶を買い求めてデパートの屋上で食べることに相成りました。肩の力を抜くのは必要なことである。

 

トレーニングというイベントを使って二日ほどの時間を割いて最新情報を提供するのはレファレンスデザインの勘所を伝えること共にお客様のフィードバックを得ることが目的である。特許を仕事としているQuad社の本社であり、レファレンスデザインとしてチップとソフトの開発提供を行うのがQuad社のチップ部門のビジネススタイルでもある。お客様が開発していく製品ペースとQuad社のチップ開発ペースとがマッチしているかどうかは別問題であるし、テクノロジーとしての過不足は、やはりお客様の製品力の差として追求していくべきテーマであるはずだ。日本の通信キャリアが提示するスペック自体が積み上げてきた過去からの堆積した結果であり、ここに元凶があるという意見もあるようだ。メーカーが独自色を出そうとしても、買い上げてもらうのは通信キャリアであるのでエンドユーザーに届ける前におめがねにかなう物でなければ作ることが出来ないということである。何か頭をひねって手伝えるテーマがありそうなものであった。

開発現場から離れて自由な時間として、トレーニングに参加している技術者も居れば、会社の次機種開発のテーマを明確にするために参加している技術者もいる。今後の動向を見据えた上でQuad社に付き合っていくべきかどうかを見定めるために参加している技術者もいるだろう。高機能な日本での端末機器開発の競争にとっては、ソフト開発を容易にするための技術提供が望ましいのだろうが、なかなか満足いく答えではないようだ。ようやっとQuad社にジョイントしてからの秘策であるところのバイナリーAPIが、お客様にもQuad社自体としても実のあるものになってきた。ケイと悩みつつ考えをぶつけあった成果がビジネスに繋がってくるまでには、かなり時間がかかったのも事実だったがCDMAに対抗すべくぶつけられてきたi-MODEにも併せて対抗していくことが出来るようになってきたといえるようだ。日々の支援の仕事だけに没頭するでもない余裕が技術者には必要なはずだ。Quad社の得意な頭をひねるということで対応できれば望外の幸せといえるかもしれない。

WCDMAの開発支援をしていると、3GPPの矛盾に満ちた世界標準といった実情を目にすることが多い。果たして、これが世界標準として世界に通用していくのだろうかとも思うのだが・・・。みなインフラベンダーは、それぞれが選択したオプションで規格を仕上げていて3GPP準拠だというのだから困ったものである。3GPPの規格自体の矛盾などに目も向けずに規格を盲信している人もいるようだ。期限だけを切られてみても、出来ないものは出来ないのである。インフラベンダーと端末ベンダーとの関係は相互接続性の確認試験を通して幾つもの組み合わせをしていくことで積み上げていくことのようだ。果たしてこうした迷路をさまよっていくという状況と、いつまでにリリースしなければならないといったヒステリックな状況とを悲観的に捉えてもしかたのないことである。出来ることを積み上げつつ進めていく中で、自分の手伝えることを開発技術者とお客様の間のクロールで見つけ出していくことの楽しさを学びつつ仕事として仕上げている。

冗談のように自宅に引き込んだFTTHであるが、最近では第三世代のスループット評価などのために適用したりと遊びとビジネスの接点が曖昧になったりもしている。「ネットワークを提供しようという通信キャリアならば、評価用に環境を提供すべきだ」などと建前をいっても始まらないので、最先端をいく国に住むものとしてFTTH位は日常的に使うことを普通だと思うようにしている。誰もが引き入れているADSLでは出来ない機能として情報発信以外にも色々と使い道があるものである。FTPサイトとしてお客様との間の私書箱のように使ったりもしている。毎月の運用費用の100ドル程の効果は十二分にありそうなのだ。といって採算を考える必要もないので気が楽だ。国策で進めているはずのFTTHなのだが、何かもっと使い道を提示していくことこそが必要だと思うのだが出来ることをもっと進めていくべきだろう。私は自分自身としてのP2PサービスとしてMP3ファイルに変換した今までのCDタイトルを出張先のホテルや会社から楽しめるようになりFTTHを堪能している。

自宅の建築が話しにあがってからは、家庭内LANやAVや電話についても色々と愉しんでいる。知人が開発しているIP電話にすべきかとか、ケーブルテレビの契約に切り替えて衛星契約をやめようかとか色々考えつつ便利にするつもりで結局却って不便になったりとか、まだまだお勧めの電脳生活は出来ないようである。よくよく考えると最も導入したくないと考えていた110度CSが一番使いやすいのかもしれないと考えたりもしている。しかし、このシステムを入れるとモデム接続が必要になったりとして光ファイバーだけに出来ない状況下を想定するとモデム対向接続環境を用意していかなければならないのかしらと考えたりもしている。いろいろ真剣に考えると楽しみが広がっていくものである。銀座や六本木あるいは皇居などと都内を縦横無尽に繰り返し走っているテスト走行なども大変な仕事ではあるが、町の暮らしの状況などのシティウォッチングも併せて愉しむようにしている。外資の会社でシステムテストをしながら、水天宮でリリースの安産を祈願したりするのも私の肩の力を抜いた暮らしである。

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