業界独り言 VOL321 添乗員・通訳・エンジニア・・・

行きがかり上、進行しない議論を効率的に進めようとすると勢い米国でのフェイストゥーフェイスのミーティングを提案してしまうのだが、最近陥ったケースはちょっと間が悪かった。複数の関係者を引率して連れて行くことになってしまったからだった。ご存知の方も多いかもしれないが、電機労連に参加しているメーカーでは過去の大事故の経験などから出張先での運転を禁じているのである。それが何を意味するのかといえば、お客様が訪米されてきた際にはホテルと会場あるいはレストランの間でシャトルよろしくといった対応を迫られるのである。無論、そんな縛りを気にしないで当然の如く運転される方もいるのだが、人数が20名となってくると話が異なってくるのである。所謂シャトルサービスを依頼して時間割を決めて移動を運用することになるのである。なかなか、自由な時間割では運用できないのだが致し方ない。ましてや運転免許を国内でも持ち得ない私の場合には当然の帰結でもある。

お客様たちの滞在するホテルの手配もQuad社での定常的なサポートの仕事でありはするものの、セクレタリーの人たちにしてみても20名といった規模で一箇所のホテルに四泊もしてもらうためには手配に必要な期間や場所からも準備が大変なことはいうまでもない。代行して予約をするためには、ローマ字でのフルネームや喫煙希望やカード情報が必要となる。一社のみならば集約が早いものの、複数のお客様を集約するといった今回の異様な状況の中では、それにすら時間が掛かってしまうのである。そうした手続きのオーバーヘッドに時間が必要なことを説明しても、そうしたことまでをして米国までミーティングに向かわせるのかといったリーダー格のお客様の方針決定までの経緯も大変なようで煮え切らなかったりもする。見切り発車での手配が結果オーライとなったりしたのはQuad社としての順風が吹いているからだと理解している。

セクレタリーも巻き込んで始まった今回の大捕り物も、先行してサンディエゴに入って別件対応も含めて仕事を進めている中で向こうとこちらの時差を越えての最終フォローをしながら良く分からない現地の事情を日本の代理店を通じてのホテルに指示手配するといった無理が重なり混乱を引き起こしていた。最終的に救って解決してくれたのは現地オフィスのセクレタリーにヘルプを求めたことだった。日本から応援で駆けつけてくれる仲間に依頼をして現地のセクレタリーに茶菓の手配をお願いしてねぎらった。

まず、日本各地から集合されたさまざまなお客様たちが一箇所のホテルに集結するという事態で、現地でのミーティングを要望されて、ホテルでの会議室を手配してプロジェクターやら飲み物の手配をして三日間コースの日程内容のすり合わせを行い、到着日の夕食レストランまでの配車手配の集合時間の確認などを時差ぼけしているお客様を会議室に缶詰にして行うのである。一時間ほど置いてシャトルに乗せるのだが案の定寝付いてしまう人も出てくる始末となった。携帯で呼び出しをかけたりしながらのフォローアップを行うという添乗員コースの始まりと相成った。

大きな会議室に日本人のお客様を20名あまり連れてきてサンディエゴのエンジニアと打ち合わせをするということになると、いちいちプレゼンテーションの逐次通訳やら技術内容の確認といった手順を相互のエンジニアの間で行いながらの進め方となる。目指すところは端末開発であり理解は最終的に許容するのであるが、端末メーカーの方々の経験が国内キャリアのベースとなるUIやらキャリア仕様への対応といった決め細やかな対応に基づいていることからなかなか、ギャップが埋まらないのである。とはいってもプラットホーム開発という立場でのQuad社にしてみればソリューションプロバイダーとしての責任を果たしていくことが求められるのである。

三日も続けていると気がつくと自分自身が話しているのが日本語なのか英語なのか分からなくなり、気がつくとお客様の質問確認をお客様に求める段階で、英語で話しかけている自分がいたりした。こういう状況から考えるに通訳という状況が実は大脳で実行されているのではないのかしら思ったりもしているのだが、まあ疲れたりしてしまうのである。さぞやお客様自身も面食らったのであろう。ある意味で合宿のような雰囲気を呈していた、そのときの大集団でのイベントはある意味でツアーコンダクターのような様相でもあり、夕食時には二台のシャトルを仕立ててアジアレストラン街まで繰り出して20名さまの予約をかけて二時間あまりの食事コースを消化して割り勘にして現金を集めて一気に支払いを行ったりというありえないような状況だったりする。

最終日には、お疲れ様の意味も兼ねて、Quad社の招待での夕食を中華レストランで行い、気がつけばいつも割安に済ましているレストランには集られて高いコースを押し付けられたりはしたものの、そうじて料理に問題もなくつつがなく四日間のコースをおえることになった。乾杯の挨拶をQuad社の代表として挨拶をしたりしながらの対応をしてからは、お買い物ツアーを展開してモール閉店前の30分あまりを楽しんでもらい、団体を引き連れて安全なルートを歩いてホテルまでリードして行列を引率してもどった。途中で行方不明になったメンバーは仲間だったり、具合が悪くなりホテルに先に戻ったお客さまだったりしたのだが、結局何事も無く無事に終わることになった。 

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