VOL91 携帯業界もゴミを増やしている? 発行2001/3/21

春めいてきた。今日は朝から、前の会社を訪問することになった。サウンド機能のデモンストレーションである。今回は黒子だ。共栄ベンチャーがプレゼンするのでサポートである。会社近辺には、そろそろ花見の時期を迎えようという時期でもあるが、陽気は春とはいえ花見は来月からだろうか。

あらかじめデモセットは、宅急便で送付しておいた。ブレッドボードを抱えて歩くには少々箱が大きすぎるのである。電源はお客様にお願いしておき、スピーカーなどは共栄ベンチャーに依頼しておいた。実際に彼らの技術を実装した事例としてのデモというのがデモの理由である。会議室でMIDIプレイヤーのコンテンツをスピーカーで鳴らしている。携帯電話は、色々な技術で出来上がっている。

技術の採用を考えているお客様としては、当然他社も採用している実情を認識しており、幾つかの課題なども追求している。同じ技術を採用するとしても実装する部品などにより音質などが変わるからでもある。市場に出回っている現在の版の音をデモしたうえで、次回の実装で予定している改善版の音をPCでデモを実施した。WINDOWSの上で同様に実装したものではあるが、ハードディスクアクセスの問題などで時々音が伸びてしまうことが起こる。

出てきた音については、いろいろ意見があってもコストダウンの手法として部品からソフトへの切り替えに流れてしまうのは時代の趨勢いもしれない。半導体のメーカーとして部品機能と搭載ソフトの両輪を回していくことがまさに求められているのだ。QUAD社は、こうしたことに対応していこうと懸命になっているのだ。対応できずに淘汰されてしまったライバルメーカーも多いからでもある。

次々と出てくる技術を盛り込み買い替え需要を喚起している姿は、車をリースでどんどん買い換えている姿にも似ている。長年のりつぶすというような人の存在はキャリアやメーカーからは肯定されていないようにも見受けられる。搭載した高価な部品や作成に要したライセンス費用なども含めて、新機種への乗り換えでごみとなっていく。このゴミが出来ないことには世の中が回らないのだろうか。

とはいえ、一度生産した製品を長年使いつづけていくというようなことは家電品と同様に世の中から無くなってしまったようだ。いつまでも使われることを良しとしないのではパチンコ業界の液晶ディスプレイを使い捨てているのと同様なのであろうか。ソフトを入れ替えるだけで楽しめるというほどには技術が熟成していないということもあるかもしれない。

セルラー電話を自国の実情に合わせつつフルセットで開発してきたキャリアではあるが、いまでは門戸開放の流れの中でより上位のアプリケーションの世界での戦争を仕掛けてきているのだろう。顧客ニーズとのバランスによって成立している世界であり、まがい物でお茶を濁していると一徹返しをお客から喰らいかねないのだが。つまらないからと返品してという願いも通らないのが、携帯業界だ。

やはり、自動車電話から派生したこの世界は、昔同様かたぎではなくてやくざな稼業なのだろうか。ただし、パチンコでは景品がもらえるが、携帯ではお金は、出る一方だ。接続するたびに表示が回って777が揃ったら無料通話が一ヶ月とかであれば楽しいのだが、ギャンブルという形にまで持ち込むのはまさに賭けなのだろう。

一円で売られている電話機を作っているお父さん・お母さんは子供にどうやって説明をするのだろうか。淘汰される世界の中での出来事なのか。デフレスパイラルと呼ばれる中では致し方ない姿なのか。携帯代理戦争と呼ばれる国内の実情では、そんなことにかまっている暇はないのだろうか。健全な業界発展に寄与しそうなベンチャーを探してインキュベーションしていくことだけでは不十分なのか。

五徳ナイフではないが、携帯電話という業界の目指している姿がキャリアなのかユーザーの要望なのかメーカーの野望なのかは別にしてまったく違うものになってしまった。GPS機能がついたと思ったらジャイロまでも付くらしい。アウトドア志向の暮らしをするには楽しい世界に変わっていくのかも知れないが、ゴミになっても冷蔵庫や洗濯機ほどは目立たないのが携帯の逃げ道なのかも・・・。

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