業界独り言 VOL133 優れた端末に未来を見出す

先月既に、初芝電器あるいは初芝通信を卒業された方達との忘年会を行った。QUAD社からは四名が参加した。通信キャリアの方や、通信メーカーの方や、インキュベータの方あるいはコンテンツ業界の方など多彩な顔ぶれだった。初芝との関係もライバルだったり顧客やクライアントだったり色々である。通信キャリアの方とは、翌週には仕事で訪問して自社チップやソフトウェアの紹介を行った。なんだかデジャブのようで、基本ソフトの開発をして売り込みにいくというスタイルは以前の会社でもあったような気がする。相手が知人なだけにそう感じたのかも知れない。

端末システムの開発ということを考えてみると通信プロトコルの実装から始まり、無線制御や周辺装置とのドライバーの開発、アプリケーションの開発など多彩なことが必要となる。確立した無線プロトコルや無線方式であっても大変な作業である。QUAD社のプラットホームを持ち出してみてもユーザーが保有するプラットホームに合わせていたアプリケーションを稼動させるのには大変な作業となるようだ。切り口が明確であれば、簡単にも思われるのだが・・・。

新たな通信システムとして基地局から端末からプロトコルからを開発していくのは、ARIBの仕様や規格を決めていくことからの多年にわたる標準化作業などを含めて、またもっと大変な作業でもある。数が出る携帯電話や無線LANのような市場であれば、そうしたことに割ける予算やリソースもあるのだろうが、現在の市場規模から限られた範囲をターゲットにした特殊なプロトコルを開発する場合などは、それを必要とする意欲の有るメーカーの技術者が精力的に参加して推進していくことが必要だ。

無線LANやブルーテュースなどの規格をハードの層としては利用して別の応用アプリケーションを動作させるために別のプロトコルを開発するといった話もあるようだ。「オリジナルのままでは、所要時間がかかりすぎるので使えないから私たちの業界で利用するために開発することにした。」といった話をしてくれる方もいらっしゃる。使いたいアプリケーションがプロトコル開発の時に見えていれば反映されているのだろうが仕様を決めている時点では見えていなかった場合が往々にして起こるからでもあろう。

企画を立てて、実現の目処を立てて、今後のビジネスの予測を立てて総合的に判断して開発に着手するというのが仕事の流れであると思われる。ベンチャーであれば、よりその精度を求められて開発リソースの精査が為されて投資効果を最大に実現しようとする。始まってからはリソースの取り合いなどの事態があれば必要な判断材料を皆が提供してトップ判断に委ね、正当に行われるようにするのだ。アイデアを暖めて機を待つものも多いようだ。

CDMA/WCDMAなどのように通信方式具現の為に必要な技術が純ソフト的な要素とシステム的な要素とが相俟って難しくしている例などでは評価できるSEの能力が問われているように思われる。単純に変復調や無線部のリニアリティを確保して静的な性能評価だけをしてもあまり意味がないというのが事実かも知れない。無線伝播の課題を数学で処理するという点がCDMAでは異なるからである。この辺りについては既にチップが提供されたりソフトウェアがノウハウも含めて提供されるケースもあるから、その場合には構築は容易なのかもしれない。

電話がISDNからADSLに移ったように、携帯電話のシステムも移行するという話がある。CDMAでいうところの1xEVあるいはHDRと呼ばれるものである。無線という媒体を使って最良の条件での伝送を実現しようというのがその共通である。無論有線とは異なり無線は共有の媒体であるのでLANのような考え方で時間軸で多重化していくということになる。通信時点での各通信端末と基地局との間の条件に基づいて最良の通信パラメータに適応化変調を行うというのがその姿でも有る。CDMAと同様にPN系列で処理することよりマルチパスを数学で解決できるのは同様である。

かつて携帯電話よりも大ゾーンで運用できることをメリットにして固定課金の運用をしてきた通信キャリアが米国に生まれている。米国での携帯電話事情は複雑でいまだにアナログの携帯電話があると思えば最新のデジタル化されたCDMAのシステムもあるしアメリカだけの規格であるTDMAのシステムもあるには有る。こんな中にあって大ゾーンで運用していた固定課金のシステムも次世代への移行を迫られてきた。システム開発をしてきた米国通信メーカーは新たなシステム開発を進める余力も無くCDMAをベースにしたものに入れ替えが進もうとしている。既に豪州などで大ゾーンで運用している例もあることが理由でもある。

同様なシステムも国内でも運用しているキャリアがあるのだが、携帯電話に押されて独自規格のメリットも出せないままに周波数だけを確保している実情もある。帯域をまとめてCDMAと同様な分だけ確保できれば実現できるのでこれから移行が始まりそうだ。携帯電話のシステムと異なり業務用に運用しているこうしたシステムでは違約金さえ払えばシステムの運用を辞めたり改変できるのはありがたいことである。一種通信事業者ではないからだ。

携帯電話では、そうはいかないのでシームレスに運用を維持しつつ切り替えていくという展開が必要となり二つの通信キャリアが運用しているPDCのシステムからの移行は大変なことになる。この為に別の周波数帯が必要になるのである。とはいえアナログからデジタルに移行したのと同様にデジタルPDCからCDMAに移行することになるのである。前回との違いは加入させてしまった顧客の数の違いである。

こうした状況の下でただのような価格で端末が売買されるのが通例となり、出血大サービスで顧客獲得競争が展開されているのが実情である。顧客を収容出来ないのはある意味でベストエフォート型のインターネットのような状況にまで陥っているのがPDCの実情なのである。電話がしたければ空いているキャリアに移るだろうし、おしゃれな端末が欲しければブランド物のキャリアにいればよいし。場所を選んでもよいのならばPHSという手もある。そんな中で新たな機能を方式に埋め込んできたキャリアがいる。

このキャリアでのベストな端末は、ある意味においては初芝通信の端末しかない。同時に登場するほかの端末が標榜するJavaや動画というものが霞むような成果がそこにはある。かつて友人であるケイ佐藤が言っていた「目を回すような楽しいこと」がこの会社によって為されるのは大きな意味がある。徒労とも思われるキャリアへの機器開発の中でこの端末開発に従事されている方達の目が死なないのはそうしたアドバンテージがあるからだろう。この端末が投げかける衝撃は、これから出てくる1xEVも含めて通信業界のキャリアも含めた再編の導火線なのかも知れない。

暗い話題ばかり先行している業界での明るい兆しが、ここにはある。完成度を高めて万全の体制で離陸して欲しいものだと思う。椎名林檎の看護婦キックが見たい人もいるだろうし、ビデオメールがしたい人もいるだろう。地図やコンパスが欲しいひともいるだろう。こうした各メーカーの選択する機能を駆使した無線端末による業務システムが構築できる時代に入ろうとしているのは私の考えていた時代の入り口でもある。

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