ポリカーボネートフィラメントの利用の注意

写真は、組み込みの里でカスタマイズして接着不要で組み立て分解可能にした電子工作用ミニバイスである。下の黄色はABSで作成したのだが、上部は最近気になって試していたポリカーボネートを利用していた。色合いは良いのだが、結着が弱いことが判明した。理由は、ホットエンドの加熱不足で、現在使用しているQIDI-Xproでは最高温度として250度までしか上げられないことが要因と考えられる。

また、テーブル温度は130度まで上げて行ったのだが、このバイスの要となる左右の咥えるパーツが反ってしまいNGとなった。今回の問題になった部分は、反りと結着不足だが、結着不足の箇所は左右に取り付ける星形プラグで連結させるストッパーと回転調整用のツマミだった。根本で結合が外れて折れてしまった。

強度的にポリカーボネートに期待していたのだが、もう少し高温設定が出来るプリンターでないと、使いこなせないようだ。高性能フィラメントが色々と出て来るのだが、プリンターメカの問題と共に温度制御をしているソフトウェアの問題もありそうだ。解決するまでは、ちょっとABSに戻ってみたのだが、こちらも同様な状況になった。フローを101%に増やして層間の結合を強くしてみようか。

やはり、250度ではポリカーボネートフィラメントの活用は難しいということが分かった。同色のABSを用いて従来と同様な形で出力を終えることが出来た。

3Dプリント出力は上から作るか下から作るか

今日のお題は、テスターのノブ(ゼロ調整用)のむ3Dデータから実際にどの向きで出力させるかの違いについて実際の事例です。

データ自体は、こちらです。https://www.thingiverse.com/thing:2837097

回しやすいように角にでっぱりを配した設計ですね。

 

 

 

 

 

裏がわの軸にはVRと嵌合するようにギアが切ってあります。

 

 

 

 

 

最初に作ったのが軸を上にした事例で、上のものが生の仕上がり

下はリューターで仕上げたもの。

 

 

 

左側がツマミ面を上に出力したもの。右側は軸側を上にしたもの。相違は、ツマミ面を上にしたものでは、表面について加工が必要としない感じですが、軸を上にした場合にはRAFTを付けたこともありデザイン上少し凹んだ形なのでフィラメントが表面に盛り上がる感じになりました。この写真では既にリューターで加工してあります。

軸内部の嵌合部については差異はとくにみられませんでした。軸をしたにしたものでは、フリルの部分についてもサポート材との間にできる脱着層が0.2mmほど追加されてしまっているので、これを取り除く作業が必要になりました。

無駄になるサポート材をできるだけ減らしたいという観点では、今回のものは軸を上にしたほうが良いです。ケースバイケースでこうしたことを想定して出力する方向を見極めてやりましょう。

 

 

 

 

基板作りでHello World

E君は、すでに春休みに入っているので学寮からではなくて、自宅から車で里に来られている。前回、作成した基板設計に問題があったそうだ。

今回は、その修正と追加基板の作成に来られている。前回と違って手慣れた動きになっているので、少しは早く帰れるかもしれないのだが、すでに二時間を費やしているからも、八時過ぎてしまうのではないかと危惧している。

T0.8の基板を二枚作りハトメで連結するので少なくとも今回の場合は四枚仕上げる必要がある。

これで出来上がると中華メーカーに製造依頼するというのが最近の流れなのだが、彼は初めての基板にちゃんとシルク印刷でメッセージをいれたいそうだ。それがうまくいかないのだそうだ。

いれたいメッセージは白黒で描いたHello Worldのロゴだった。里ではULPの機能を使っていれたことはないのでネット情報やマニュアルなどから何が間違っているのかを横からみているとはまってしまった問題が二つあった。

彼が作成したイメージは白黒ではあったが24bit諧調のBMPだった。少なくとも256色以下に減色しないと扱えないのだが、実際に白黒の描画したので気づかないというものだった。ツールは正しく減色しろというメッセージを出していた。

減色するにはPaintソフトでフォーマット変換して保存ということになるのだが、ここでは、この作業の際に名前を変えて保存することになりすなわちオリジナルファイルとは違うパスに置かれてしまうのだが、その点に気づかずにオリジナルファイルを参照していたようだった。サイズが減っていないことを指摘してパスが違うことを理解してもらい、いわゆるピクチャフォルダに変換後のファイルは保存されていた。

あとは彼の頑張り次第だ・・・

 

新学期に向けて

気が付けば、高専の学生Eさんはもう春休みになっていました。今日の課題は、ハトメで連結する両面基板の開発とのことです。いろいろとやっていると時間が遅くになりましたが、なんとかしあがりそうです。0.8mmの基板を二枚しあげています。

 

 

 

 

 

管理人は、里の泊り環境を向上するため懸案事項の排水口からの臭気到来を防ぐソリューションを開発していました。完成品はカスタム設計したこのトラップです。内径55mmの排水口に合わせて、およそ53mm径のユニットとしてトラップを設計してABSにて出力しました。断熱効果良好の新型マシンで出力すると背の高い出力でも安定して収縮もみられずに出力完了しました。設計はFusion360です。今回は、トラップなので回転構造を用いての設計をしています。

 

 

 

また、3D出力依頼されていたパーツも出しています。持ち運べる? 体に装着可能な外骨格の椅子を開発している金沢高専OBの花岡君が開発している試作品用のパーツです。先日、Robo3Dを貸出展開したのですが、安定度にかけるという報告などがあり取り急ぎ出力支援をすることになり、以下のパーツを作りました。

なかなか3Dプリンターの使いこなしは難しいということですね。外骨格の試作品に適用するには強度も必要で、ABSで60%充填+外殻3mm以上ということでした。

 

 

 

続) 細かくて強度のある適当な精度の必要なもの・・・を沢山作る

問題解決にはならなかったという報告から始めます。

前回、精度よくABSでサーボモーター用のホーンが作れたという報告などをしましたが、実際に利用いただきましたところ「使えない」ということになりました。

青いパーツが前回ABSで製作したものでしたが実は対象のサーボモーターのギアとの収縮率が異なり温度依存でかみ合わないのです。

結論から言えば、ナイロンで作り直すことになりました。噛みこみ部分のギア側をみても少し工夫が必要なようです。21歯のギア作成から作ってきましたがピッチはそのままに三角で近似することにしました。

拡大に使用してきたUSB顕微鏡がハード的に使えなくなり環境側の問題も出てきたりして対応に時間を割かれていましたが、さらにヒートベッドの温度センサーも故障したようで、とりあえずヒートベッドの交換手配をしています。こちらも届いたら故障側のものも見てみる予定です。現在は計測温度が0Cとなっています。

 

 

 

 

細かくて強度のある適当な精度の必要なもの・・・を沢山作る

里にある3Dプリンターはいわゆる互換機の第二世代くらいのもので、最近ではメジャーになってきた感じのあるものです。

さて、知人の依頼で作っていた電子工作で用いるサーボモーターSG90用のクロスホーンですが、まとまって必要だということなのでプリンターの修復がてらトライしました。

最近の扱う材料が高温設定で使う材料が増えていて、従来のPTFEを用いたフィラメントホットエンドとを熱分離する箇所でPTFEが軟化してしまいフィラメント送りが詰まってしまうという事態が起きていたことが、こちらの問題でした。

オールメタルでこの問題を解決したという触れ込みのホットエンドが良さそうだという話があったので、さっそく届いていたこともあり時間をとって組みなおしました。すでにホットエンドからクーリングバーへの接合部などか固着していて抜くのには苦労して、途中で新規の別のものに付け替えようかと思ったのですが、買い置きしてあったものは、なんとサーモ素子の取り付けネジサイズが何故か間違っていました。さっそく中華メーカーには苦言と交換を申し入れてチャットで確認しました。

あきらめて、固着した部品を外すのに使えそうな道具を物色したところベアリングなどを抜くためのプラ―が使えそうだったので、これを応用してみました。間にナットをかませたりして引き抜くことが出来ました。今回の評価が良ければ、全部付け替える予定です。

オールメタルのパーツだとフィラメントと熱分離するPTFEのスペースはなくて、その部分はアルミになっていて、下の接合部分はステンレスという構造です。

実際に組み上げて出力をしてみるとフィラメントのフィードもスムーズに見えます。一番上の写真が4つだけ試しに出力したところです。出力結果も良さげです。

現在の設定は以下の通りですが、まだまだ量産の道は遠いかな

ABSですが
ノズルは255度
ベッドは60度
です。収縮も見られずきれいに出ています。

Fusion360資料整いました

CNCエンドミル(QT100) や 3Dプリンターの造形データの作成に必要なツールとしてクラウドベースのFusion360の人気が高まっています。CUTシステムから出されている解説書のスーパーアドバンス編、CAM・切削加工編を図書に加えましたのでご活用ください。

自転車籠対応でランプ台を作った

いわゆるMTBもどきの自転車に前かごを取り付けたのだが、買い物で便利になった反面、ハンドルについていたランプが荷物の影になって使えなくなった。

ランプの基台を籠の前につける形の部品として複製加工したものを設計して作ってみた。強度がかかるのでABSで100%充填での出力にした。

 

一応、期待値のようになった。従来だったらランプを買い替えていたのかもしれないが、修復工作のツールとしての3Dプリンターは有用です。

クリスマス用のデコレーションを3Dプリンターで作ってみる

秋葉原で電子工作スペースを運営しているアセンブラージュさんが、アキハパラ キラキラ化計画というイベントを企画されている。参加された方が実際に電気街でクリスマス期間に使われるイルミネーションを作成するワークショップで、作成物は展示期間後に渡される形だそうです。ヒューマンネットワーク高専としてアセンブラージュさんの応援をしているので、普段やっていることで何かお手伝いできることはないだろうか考えて材料を探していましたところ。

100円均一ショップで売っている耐震ジェルを見つけました。6個セットです。

%e8%80%90%e9%9c%87%e3%82%b2%e3%83%abこの粘着性の柔らかい樹脂(エラストマーゴム)はサイズが25mm四方で厚みが3mmというものです。

間に紙でアイコンを切り抜いたものを挟み、横からLEDで照明して両サイドからアイコンが照らされて浮かび上がるという作戦です。

 

image使うLEDはフルカラーでシリアル制御可能なWS2812Bの基板実装済のもので、10mm径の円盤で厚み3ミリというものです。

IchigoJamでの制御可能にするという課題についてはIchigoLampというパッケージをLPC810に焼きこむことで対応するというのが槙野さんところでの方針らしいので、それに準じます。

img_80691とりあえず、エラストマーゴムと基板二つを挟み込む樹脂パーツを3Dプリンターで試作してみました。

 

 

 

 

 

 

img_80611基板の実装イメージはこんな形ですが、給電配線は方向としては、間違いで中に向けて入りと出の双方でY字を描くようにするのですが、まずは点灯してイメージの確認です。

 

 

 

 

img_80591でこんな感じです。

しかしながら、実際に試作したケースでは、この太い給電線を収容できなかったので・・・img_80672ワイヤリングペンで配線することで、まずはアイコンを挟んで照らすことを評価しましたよ。色を変えてみてもよさそうでした。

コントローラは、とりあえず、ArduinoにNEOPIXELのスケッチを入れて評価しました。

収容部分の給電線の余裕をみた形にして3D設計しなおして作成したものは、こらちにUPしてあります。

エラストマーゴムは粘着性ですので、表面にもゴミが付きやすいのですが、この用途に限っては汚れてもグミのような感じになるだけで、照明の結果としては透明よりも良い感じになるようです。

むろん取り外して洗えますので、問題はないです。img_80661

嵌合に使用したネジはM2の8ミリです。
IchigoLampやArduinoなどからの給電能力から考えると、このペンダントとしての連結制限は6個くらいかもしれません。(12個のWS2812B)

輝度を下げる指定をすれば増やすことは可能ですし、別電源で供給するならば問題はありません。

作成しました3Dプリント部品やWS2812の基板については頒布いたしますので、希望者はお知らせください。

3Dプリンタで異径ジョイントを作った

img_78291古い一戸建てを購入して内装を保守して組み込みの里としてラボとして整備してきたのだが、台所のキッチンセットはそのまま使えそうなので使ってきた。

大掃除を始めたところ、シンク周りで臭うという話が出てきて普段蓋をしていると気づかなかった配管工事の課題が露呈していることが判明した。

問題となった箇所は、台所のシンクの下である。写真のように、左右のシンクからの排水が、排水マスのパスに対して結合してさしてある。測ってみるとマス側が65ミリほどで蛇腹ホース側は32ミリほどだった。とはいえ、使っている現況では、単なる異径ジョイントがあってもさすことができない。テーピングで工事するという方法も確かにあるのだが、欲しいサイズの開閉可能な異径ジョイントがあれば問題は解決するのだ。

img_78281まずは、異径ジョイントそのものを設計した。その後、分割してヒンジ部を作り結合した。結合に際しては、組み立てる状況を考えて一部の補正が必要になるのでよく考えることが必要だ。ヒンジの配置で径が狭まるのも困りものなので3D設計画面で吟味をしておく必要がある。印刷する前にデバッグをしないと印刷時間が必要なので、ここは重要だ。

 

 

img_78301おかげで製作したものは一発回答だった。ヒンジもスムーズに動作して設置しにくい場所だったがスムーズに設置してテーピングせずとも十分な臭気シールドが出来た。

一応データはThingiverseに登録した。

http://www.thingiverse.com/thing:1819229

このパーツの目的は臭気シールドなので強度的には問題ないのでPLAでも十分なのだが、新しくMakerwareを入れた環境で試験したのでABSが装填されていたQIDITECH社 Avatar4(TECH1)を利用して出力した。密度は30%ほどだったが、フィラメント供給が安定しなかったようで少しスカスカしていた部分はABSの接着剤を塗布して補強した。