Arduinoで学ぶ組み込みハンズオン合宿をしてきました(1)

先週末11/24と11/25は、依頼された組み込みハンズオン合宿の講師をしてきました。開催場所は茨城県神栖市の旅館を借りてのものでした。オープンソース活用などを進めておられた知己が地元の母校(波崎工業高校)の後輩たちもターゲットにして開催する刺激を与えることを目的として企画されましたが、実際には若手抜きでの開催となり準備推進といった様相となりました
先日開発したスポーツ用の12秒タイマーの実装例などの解説を中心にしてカスタマイズや、センサー・アクチュエータを活用できるところまで参加された方々のIDE環境のセットアップから二日間で漕ぎつけるというものでした。ほかにも教育研究されている宇都宮大学の先生や波崎工業高校の先生のお話も交えての内容で縦軸が私の担当するハンズオンの合宿でした。

地域の工業高校生の参加勧誘に向けては、社会連携などの活動としてのお話しにつなげていく中でのものでしたので準備に手間取り実際の生徒さんたちの都合には十分な宣伝期間などが不足して、社会人の方たちの参加のみに限定されましたが教える側としてのトライアルとしては寧ろIT環境になれない方たちも含めてのものとしての挑戦でもありました。

最初に、自身の邂逅となるマイコン遭遇となる組み込み人生について自己紹介をかねての経歴説明の中でマイコン開発の進め方にどう携わってきたのかを話して開発環境への取り組みが35年ほど遡る時代背景での高級言語Cのマイコン実装実現での経験について話をして、現代にいたるまでの話をつなぎました。これには今日のハンズオンへの伏線を隠していました。同様な内容は先月開催されたヒューマンネットワーク高専の全国交流会でのプレゼンと被ります

手元に皆さんが使えるようにしたのは中華製のArduino互換基板です。今回参加された方々はUbuntu, Windows, MacOSと様々なタイプのマシンを持ち込まれていたのでIDEのインストールを通じて最近のライセンス問題やArduino自身の出自や、Arduinoプロジェクトの御家騒動、USB変換チップの模造品問題などについても触れて今回のものに搭載されているものが中華国家が推進しているCH340が搭載されていることに触れて、識者の方にも経験のあるUSBケーブルが動作しなくなったある時期の時代背景についても触れて実態について紹介しました。こうした技術上の現代史を知らないまま、これからの時代を生きていくうえでは重要な点と理解しています。

折角の機会なのでマイコンの構造を解き明かしつつ内部の構成についても解説を加えるという回りくどい教え方でもありました。

Arduinoのベースとなるマイコンの基本を知ってもらう意味で機械語の動作が目視でみたりすることが出来るマイコン黎明期に登場したAlnair/IMSAIなどのレプリカマシンであるLegacy8080(科学少年出版)を持ち込みマイコンとしての動作の概念であるメモリ、バスライン、デバイスの仕組みについて解説して自身が開発して成果を上げてきた話とシンクロしながら説明をして、組み込みの基本となるリセットからのマイコン動作も含めてデモすることで実際にマイコンをステップ動作させることで理解した雰囲気に導きました。

Arduinoの良いところはプロトタイピングのために徹底した抽象化が図られていて本当の意味で知らなければならない細かい所作については理解しなくても使い込んでいくことが出来ることでもあるのですが、そうした隠ぺいした部分について詳細な理解までは別にして気にする程度に説明することで実際のモノづくりに必要なことを実装例を通じて示していきました。

実際に作ったスポーツタイマーは12秒計測を行う大型のLEDでフラッシングを脈動するような形で色や照度を変えつつ表示計測して任意に停止したり巻き戻したり進めたりという実現したものの説明を先に行いました。これで参加される方がこれから説明しようとするものについての動作上の理解をしてもらうことが出来ました。

具体的な動作例を示すことで、その中身のソースコードを説明していくことで必要な記述が何を示していくのかについての関心が増します。

150個のLEDピースが連結されたNeoPixelというデバイスが三本の線で接続されていることを示しつつ、信号線の定義をソース上で行うこと、実際の基板の上での読み方や複数のピンが存在する中で使える二つのタイプのピンAnalogの入力にもつかえるピン、デジタルの入出力に使えるピンなとの機能についての説明や配置上の自由などにふれ、これから制御しようとしているLEDのシリアルテープ構造のもの自体が一つずつにマイコンが搭載されていて3色のLEDの色情報と輝度情報を持っていることを教えます。セグメント構造、色の制御、時間経過での色と照度変化のための構造定義とロジックについてから前後しますが、ArduinoのプログラムにはMainが存在せずにSetupとLoopしかないことを説明して、普通のブログラミングであればMainから終了すると終わってしまうのが、Setupが最初に一度だけ呼ばれてから、Loop関数は繰り返し呼ばれてしまう構造であることを伝えて、ようやくソフトの制御の流れについての読み方を説明していくことを伝えます。スポーツタイマーではBluetoothの端末からのコマンドで動作することを示していたことは示していましたが、あえてシリアルインタフェースは使わずにソフトシリアルを使っていることを理由も含めて説明していくことで深みに嵌めていきました。

7セグメントの構造の1.5桁構成の表示機で制御するためのLED構造が数珠つなぎで一番Arduinoに近いものからアドレスが降られていることを伝えて制御したいセグメントを定義するスタートとエンドの番号を定義していく箇所。

そのセグメントが0から12までどの様に点灯するのかということを定義したデータ配列。

三色のバランスを段々変えていき、緑から始まって、徐々に赤くなっていく色の変化を定義した配列。

一秒刻みで毎回ハッキリと輝度を上げて表示しつつ経過時間で薄くなっていくための輝度調整の計算ロジック。

以上開発した関数を組み合わせて、ある経過時間での残り時間を、その時の秒数と、その時の輝度と色で150個のLEDに与えるデータとして編集する関数群として呼び出す仕組み。

最後に一気にそのデータを瞬間的に高速に払い出すための関数。

激レアさんたちと交流会 全国高専交流会in長野2018

今年も全国高専交流会の時期となり、今回は長野県菅平高原まで出かけてきました。高専OB/OGまたは高専を愛する方たちで構成されるいわゆる激レアさんたちの交流会です。高専生自体が年代の1%というレア物ですが、そうした中でもレアな人たちが高専愛を訴えて集ってくるのが、この交流会です。

年齢幅も現役高専生の20歳から1期生あたりの70歳超の方たちまでが集い、真剣なまなざしで講演に聞き入るさまは、とても真摯なイベントでもあります。

総勢55名の方々に集まっていただき、多くの方にはそのまま懇親会やその後の車座でのグループ討議という名前の話し合いが深夜までつづきました。

詳しい雰囲気や写真は、こちらのリンクでヒューマンネットワーク高専のHPから見ていただこう。

私も「通信と組み込み開発今昔」というタイトルで話をさせていただきました。限られた時間では伝えられないことも多かったですが、機会があればいずこでも訪問してお話しさせていただきます。

色々と整理が必要で対策中

パーツボックスのトレイ不足を3D出力した話は前回だったが、さらに個別案件で購入したスポンサー付きの部品などを別管理にする必要も生じて対策が望まれている。そうした開発依頼作業での活用と在庫整理も兼ねて、コストパフォーマンスの良さそうなアイデアが出てきた。100円均一のセリアなどで購入できるトレイと厚手のA4ファイルケースの組み合わせだ。なかなか良いのだが・・・

続いて今回開発したのはA4Lサイズの薄手のファイルケースに内蔵させるカスタム仕様のパーツトレイでこちらは3Dで作成した。背の高さは20mmほどでファイルケースに合致している。

材料費の観点では、実際に四つの部品トレイで作ることになるが一つ100-150円程度だフィラメント代としては・・・だが。ファイルケースに綺麗にフィットするのでとても良いと自画自賛。

そして振り返って最初に試した厚手のものについても隙間を埋めるトレイを作成することでフィットすると理解したので、次回はそちらも作ることにしよう。今週は台風到来で、印刷中に停電するなどの状況もありましたので出力は半分のみです。

なくしがちな小物入れ引き出し

組み込みの里では、部品在庫収納に利用している小物入れ引き出しが沢山ついている安価なものを利用して壁に止付けている。成形精度に難があったりもするのだが、壁につけられるだけ配置してある。まだつける余地がありそうなので増設も考えたい。いただいた物もあったりしたのだが、引き出しが少なかったりしていたので、工房でネジなどの収納に使っていた。

3Dプリンターで部品をコピーしてみることにしました。

データはこちらにあります。

TA7291Pでリレー制御

IoT機器開発の依頼がありコンサル対応しています、ラッチングリレー制御をネットで行いたいということでArduinoとSakuraIOに繋がるrelayシールドと、その筐体実装のサポートをしました。プロジェクト自体は現役高専生がベンチャーの会社で任されて進めていて、組み込みの里ではそのフォローサポートならびに試作製造といったことをしています。

途中経過は、試作基板を削りで作成していましたが、最終的にシールド基板のみを開発することになりました。

量産基板には設定切り替えなどをJumperで出来るようなフットプリントを付けようとしているのですが、使っているKicadが色々と難癖をつけてきて妥協と解析対応をしつつ進めています。

若者がモノづくりの主体として関与するこうした取り組みを任されているベンチャーの方とのコラボはとても良い実体験になると思います。スマートに解決できることばかりではなく、お客様との打ち合わせなども体験しながら進めているプロジェクトの発信源は、やはり高専OBの熱い方でした。

仕様変更の調整なども踏まえて少し余計にかかりましたが、夏休み前にお話しを聞いていた時から長い高専生の夏休みの実務アルバイトは大きなインターンシップ以上のものになっていると思います。

試作基板には、仕様変更の対応でターゲット装置の遠隔監視などの観点で温度センサーが追加で実装されることになりました。ユニバーサルエリアを作らなかったので孫基板の実装となりました。

里では何年か前に話題になった例の温度センサーを使っています。(Hi)

NC加工をしてみる(6)

PCBEとOriminの組み合わせでも強度の取れる形でUSBコネクタやDCJACKをDCJACKを実装できるスリット型の角穴を作成することが出来た。

秋月電子の定番ジャックだ。

基板加工機での刃の切れ味からか、バリが気になった。金属ブラシを取り付けてこの後サンディングを行った。角穴の嵌合は問題なさそうだ。

そしてIoT機器試作セットは仕上がった。このあと、ケースに組み込んで改善内容について学ぶことが出来た。

NC加工をしてみる(5) oriminで角穴を

タイトルと離れているのは承知の上だが、作った基板の部品実装強度に問題が出てきたようだ。課題はテンションのかかるDCJACKとUSBコネクターでどちらも給電用に用いたものなのだがスルーホールでなくて、フィットした角穴でもない大きな径を合わせただけのランドへのはんだ付けがピンポイントになるのは自明の理でさすがに強度不足だわ。

対応策として現在のツールチェーンでの折り合いを図ることにした。

CAD自体は、試作目的ではPCBEを用いているのだが外形に限っては角穴が出来そうなので、大きな角ランドに角穴をあけるという方向性でパラメータを振ってみてツールとして穴加工に合意する点を探した。

この基板では、切り欠きやインシュロックを通すための角穴は付けていた。そこで分かったことは、Oriminでは外形線として角穴は許容するものの斜め線や多角形は許容しないらしい。縁に出来るだけ近くに寄せた角穴を最後に切り落とすという作戦にした。

角穴ということの定義は描画時点で穴になっていないといけないらしく少なくも0.2mm以上の間隙が出来るようにしないと切削線が重なっている状況では許してくれない。また、そうした際に外形加工の刃物径とも関連してきていて今回の調査では刃物として外形0.5mmのオリジナルマインド社謹製の土佐昌典FTを利用して所謂一本使いで粗く仕上げる作戦なのだが、加工パラメータにはあえて嘘を入れて0.1mmの刃物ということにした。こうすることでこのツールパスを許容してくれたのだ。Oriminでは加工判定後ツールパスを描画してくれるので、こうした設定がうまく使えるのかどうか予め確認できる。

NC加工をしてみる(4)

今回のお題は、市販の防水樹脂筐体に収めるある程度数を作ることを想定したモノづくりのお手伝いだ。里の加工で出来ることはしれているのだが、そこはベンチャー会社の人たちにしてみたら他に頼むことよりも出来るだけ作れるものなら最初にどこまで作れるのかは知りたいということらしい。

基板手配は、当初の課題だったが、サイズの問題などからEAGLEからKiCADに移行して新しい機能などを覚えて試作品としてOriminを用いたUSBCNCで削り出して試作評価というフェーズが簡単に崩れてしまった。良くも悪くも今までの使い方がCADというよりもアートワークを手で引いているようなPCBEだったりしていたことから制限を外して挑戦しようということでもあったのだが、試作用もう少し融通の利く環境構築も必要のようだ。

基板がとりあえず、KiCADのアートワーク状況を手コピーしてPCBEのスクリーンにプロットしていくのだがPCBEの柔軟な運用としてプロットポイントを自在に原点調整やピッチ変更が出来るのが幸いしてほどなく出来るのだが、あいにくと強度が必要なUSBコネクタやDCジャックの類の角穴などは折角モデルを使ったのが仇となっていたので丸で近似するしかなかった、作図は簡単だがはんだ付けの苦労はありそうだ。

これやArduinoの基板をスペーサーで保持するのだが、その設置用の穴開けが課題になりそうだということは先週のトライアルで分かった。穴あけ位置を指示する樹脂製のテンプレートを作成してそれ越しに穴あけをすることにした。これを作るのは今回は3Dプリンターで少し垂直のガイド性もつくようにした。

結局Arduino以外も含めて全体のテンプレートが丁度3Dプリンターで作れそうなので穴のサイズごとに色指示のシールを貼って効率が上がるようにしてみた。
Arduino UNOには使えないコーナーピンが一か所あり、設計上は3mmのビスを使うことになっているのだが実際にあたってしまいネジ締めが出来なかったりもしているので、ここは2.6mmのネジを一か所だけ使うようにした。そんなこともあったれして実はバタバタとしたNCデータの流用だった。転写する段階で読み間違えたりしてサイズ位置が合わなかったこともあったので、もう少しレビューを落ち着いてしたほうが良さそうだった。問題のUNOのマウントには樹脂製のスペーサーを使わないと背面のパターンも当たってショートしそうな感じもしたので手持ちのジュラコンのパーツを見つけ出してくみ上げてみた。

明日、全体試験をしてもらって来週はいよいよ顧客先で稼働評価試験となるらしい。

NC加工をしてみる(3)

あまりこだわったことがない、基板加工にも今回は、取り付け位置の制限などから外形加工をする必要があったのだが、使ったP板CADはKiCADにしたところ、基板加工機CIP100に付属してきたOriminでは対応できないことが分かり、急遽今まで使っていたPCBEで加工データの位置を取り込んで穴加工とその配線を通すという形になった。昔でいうところのアートワークを引いている感じだ。

作りたい基板サイズは45×105ほどなのでCIP100(Max 160×100)としては二枚取りが出来そうなあんばいなので外枠の一部は今回基板の縁に添わせる形で刃物の摩耗も防ぐことにした。取り付ける部品を押える目的のインシュロックを通す必要もあって角穴データは溝切の一環で外形データと通すことが出来たのだが、基板自体は四角にしかすることが出来ず一部を切り込んだ形にはできないことが判明した。対策は簡単に切り落とせそうな角穴をその位置近くに置くという代替案だ。KiCADで通らなかったデータにはDCジャックのランドパターンもあったようだが、これは少し大きめのパッドで逃げることにした。

本番の基板とパターンと部品配置だけを似せた状態でのデバッグということになる。試作動作完了となれば、基板発注という展開になる。

NC加工をしてみる(2)

微妙な配置にあるのは、今回作成したリレー制御基板の穴加工位置についたガイドである。適当にリブをつけて強度を持たせようとしているのだが、矢印をエンボスにしてあるのは、ターゲットの基板の角に寄せるためのマークである。

ABSもしくはポリカーボネートで明日作成する予定だが、下にはエポキシ基板も当てようかと思っている。実際にはシャコ万力で押さえてハンドドリルまたはボール盤であけることになりそうだ。

位置精度が必要なものは、あとArduino UNOのマウント部分もあり、同様なガイドを作成する予定だ。下の穴あけを依頼すると加工費用だけで材料の25倍以上の費用となるらしい。工賃は馬鹿にならないし、実際に先日配置の指示だけを紙に出して貼りつけて穴あけを試みたのはNGだった。少なくともオートポンチを施工すべきだったようだ。

精度を出すのが難しいことは確かにその通りなので専用冶具を3Dプリンタや基板加工機で作成するのは今風なのかもしれない。