業界独り言 VOL217 かみ合わないデバッグ

WCDMAあるいはUMTSという名前で開発されている通信システムは、規格が策定年月込みで次々と実装開発が進められてさらにその間に発生した変更要求(CR)の盛り込みとを合わせた形でようやっとベースとなる規格として扱うことになる。残念ながら、さらに規格の中でいくつかのオプション選択が可能となっていることや、規格の解釈相違などが現実にはありこうした問題点を切り分けつつ開発を進めることになる。自由な規格という性格が開発を難しくしているのは明らかであり、時限を切られた開発を進めていた日本などが暫定規格を採用通信キャリアが決めて進めることになったのはいたし方ないことでもある。また、通信規格とは別に通信キャリアが策定する仕様というものが別に存在するのでアプリケーションや検証といった目的の作りこみは、これらを解決して実現することになる。

国内の通信キャリアが、グローバルスタンダードとして採用したUMTS規格での第三世代は親会社となった欧州通信キャリアの意向なども加わりさらにGSMとの共存などの色合いが濃くなったのは納得のいく流れである。既にアプリケーションレベルで写真メールなどがGPRSベースで流行を始めたというのは日本発の技術という意味でいえば喜ばしいことだろう。国内でPDCをサービスしているにも関わらずGSMとの共存を追及していくことでPDCからのスムーズな撤退ということなども将来には考えているのかもしれない。通信コストの削減やグローバル化を目指しているという姿は、通信容量不足に追い込まれたトップキャリアの背景からの相違なのだろう。デュアルバンド実現という技術的な課題には、日本規格で既に実現しているPDCでのデュアルバンド化などの観点から無線的な技術解決については果たせているようだ。

赤いボディで既に市場に登場したGSM対応のUMTS携帯電話にはSIRを考慮した設計からなのかアンテナが口元についている実装となっている。当然SIRの危険性という面から見れば頭が温まるよりは舌や口が温まり饒舌になり通話時間を延ばすという期待もあるのかも知れない。二つの異なるバンドと通信規格の双方を実現するという目的には内実は大変な技術的な内容があるようだ。技術者の方や通信キャリアの評価する方たちはなぜか、使い方を不自然にアンテナを有効に使えるような形で配置したりしてデータ伝送の試験をしていたりするのは妙なものだ。それだけ性能評価などが難しいということもあるのかも知れないのだが・・・。性能評価を妨げているのは、無線性能評価を左右する無線区間の設計などがインフラベンダー毎に異なっていることも背景にある。各地域毎に分けられて異なる通信インフラメーカーの機器が納入されているのはUMTS規格を共通のより所にしているからということでもある。

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業界独り言 VOL216 初めてのC

携帯端末の開発支援をしていると不思議に思うことがある。通信機メーカーあるいは電機メーカーに入って携帯の開発に従事したいと願って叶った結果の仕事に就いているはずの有望な若手が実際の開発に携われないのである。仮にS君という名前にしよう、彼は電機メーカーに入り携帯電話の開発に携わりサンディエゴのQuad社にもお客様トレーニングの一環として訪問された方である。英語も堪能であり、技術的なセンスも中々の有望な若手といえる。そうした彼らを中心として構成された開発チームを見るとピラミッドのよう全体に広がる次の階層のエンジニア達の殆どは制服の違う人たちなのである。彼が実際に詳細設計やコーディングまで手がけたソフトウェア開発モジュールは大きな特色のある通信機能であり、彼はその開発取り組みに燃えているという印象がサンディエゴで会ったときには感じられた。

そんな彼に日本での支援作業の中でお客様として付き合いあるときは深夜に及ぶ作業の中で技術者の先輩としての話なども心割って話したりするような機会にも恵まれた。今、彼は手がけた端末の通信性能担当ということになり主にデータ通信機能について取りまとめをしている。童顔に見える彼ではあるものの実際まだ28歳ということで入社して六年目という脂の乗っている時期ともいえる。六年目であればかなりのソフトウェア開発をこなして実際のドライバーレベルの設計から始まりおそらくシステムあるいはサブシステム開発の取りまとめまでを経験しているというのではないかと想像していた。しかし、実際に彼がソフトウェアのモジュール開発に携わったのは今回の機種の特殊通信サブシステムが初めてということだった。そして彼のはじめてのCプログラミングであり、またシステムプログラミングだったようだ。

ごく日本的なというと、語弊がありそうだが、おそらく技術的に難しく実証確認が必要な通信機能ということで彼に白羽の矢が立ったのだと理解している。そして取り組み性能チューニングや実証確認を通じて目鼻がついたところでお決まりの話であるところの「引継ぎ」が発生してマネージメントに戻されたのではないかと推測している次第なのだが果たしていかなものだったのか。確かに見せてもらったそのコードには、真摯な取り組みの格闘のあとが見て取れるし幾つかの部分にはコーディングスタイルなどが、統一されていなかったりするのもそうした状況から致しかたないことだろう。HLDに終始するのがメーカーの技術者であるにしても、モジュール開発の経験がある程度は必要なことは自明な事と思うのだが、なかなか急成長に立ち上がった部門などでは、実現できない点なのかもしれない。そこまでケアする余裕がないということなのだろうか。

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業界独り言 VOL215 Linux携帯の行方

電源ボタンを長く押すと、内部ではshutdownコマンドが発行されます・・・・なわけは無いか。cursesライブラリで画面更新・・・っていうのもなんだかな。マルチメディア処理も含めてアプリケーションプロセッサに潤沢なリソースアサインをして端末のバッテリー持ちは、PDA並で・・・という訳にはいかないしな、やはり頑張らんといかん訳でクロックを下げても動作するような結局はアプリケーションコードの質を上げるしかあるまい。鈍重なコードを書いてしまってリソースを使っているようでは消費電流もおぼつかないのでね。というような会話が始まりそうな時代になってきた。まさか、個人の携帯電話にUnixのような環境が似合うのだろうか・・・という愚問はなしだ。既にシャープのザウルスにはlinuxが搭載されている。状況からだけでいえば、各社が携帯電話の為に開発してきた独自のMiniWindowsのような環境の保守ならびにそこへのアプリケーションの流通性や利便性を考えての対応だろうと思うのである。

知人の知り合いに、Linux環境の構築などに明るいソフトウェア技術者のM嬢がいらっしゃる。メーカーでの研究所の開発研究作業を支援するという職歴を経るなかで独特の技術文化形成を行ってきたようである。Naviの開発などではWindowsが搭載されたりするなかで研究所という機能に求められるものは、新技術の実用化プロトタイプまでの開発というのが最近の流行なのだろうか。彼女もそうした流れの中で、研究所に課せられた課題を主体的に走り回るというソフトウェア開発仕事に没頭しているらしい。予め断っておきたいのだが、彼女は知人の知り合いであって直接の知り合いではないのだ。だから、私がここで書き連ねていることの多くは私の想像の域を出ないのだが、出典となるようなネタは知人経由での情報であったり業界の動きからの類推であったりする。

ソフトウェア開発技術者として、メーカーに出向して仕事をするのは日本では、ごく一般的なことである。一通りの仕事が任されるのかどうかということについては派遣先の文化に依存するようだ。Quad社には基本的にサブコントラクターは居ないので、仲間達と一緒に日本に訪問してお客様の支援をするときに皆が吃驚することのひとつでもある。お客様の仕事の仕方として通信バブルが弾けてからというものの、ソフトウェア開発業界自体は買い手市場に変わってしまったようであり、元気なお客様のもとに集うように変わってきている。業界が減速あるいは失速しているなかで開発費用のデフレーションも始まっているようなのである。アプリケーション開発をしている上での指揮者自体は依頼元の開発技術者であるべきなのだが人材不在なのか、育成教育の不在なのかとんでもない担当者しか居ないケースもあるようだ。

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