業界独り言 VOL251 明日の開発の仕事には

開発支援をしながら、五年目に突入した。来年起こるだろうソフトウェア大恐慌時代を前にして、少なからず前向きに生きていきたいという思いがこれからの一年に私自身に問い直しを迫っている。自己矛盾するような仕事をしているのでは・・・と人から言われるような仕事をしているように見えるらしい。ある意味で私自身も仕事の流れにながされているのかもしれない。ただ、ある意味で日本メーカーが進むべき道を示しているのではないかという自負はある。日本メーカーが諦めてしまった技術追求をしていけるのは、我々自身であり、そうした結果こそがソフトウェア大恐慌時代を越えて生きるソフトハウスや通信機メーカーに光明をもたらすのではないか・・などといまさらながらのドンキホーテぶりに自分で書きながらあきれ返ってもいる。

13年ぶりに日本に帰国したという知己のIさんを囲んで食事をした、集った仲間はみな彼と仕事をしてきた戦友である。今、彼は新しい任地に向けて赤紙で召集されたばかりであった。とはいえ少し前に聞いていた話は、行き場所がなくなってしまい英国に残している家族との生活が維持できなくなり新しい生活を考えようとしていたということだった。おなじ会社の中で新たな酒造りを別の任地で行うために欠かせない人材として彼を考えていたのは偶然の所産なのか計画だったのかは神のみぞ知る。ある意味で、その日に集った仲間は組み込みソフトウェア開発というビジネスモデルを立ち上げつつ成果を残しながらも変容する業界の流れの中で自己矛盾をきたして戦地を去っていった者ばかりであった。集った仲間と話をしていると戦争の話に終始するのは致し方ない。竹槍で戦ってきた時代を通して技術を学び、米国の先進技術を学んだりしてきた仲間だったからだ。

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業界独り言 VOL250 Mさんへの畏敬の念

私のこの会社での最初のサンディエゴへのフライトだった1999/9/11から四年が経過した。五年がワンセットといわれるのが、この会社でもある。チップとプロトコルセットの提供という状況で始まった、チップセットビジネスは大きく様変わりしてアプリ屋さんが花咲く時代に入ってきた。はみ出し三号と自嘲的に自らを呼ぶT君などは、お客様支援の中でこれからの時代の中で活躍をしていくエンジニアである。ケータイ開発という業界で仕事をしていると色々なエンジニアの集大成として製品開発が進んでいくのがよくわかる。企画や開発管理を中心としたいわゆるメーカーの技術者の方たちと、ある意味で支援技術者の我々はオーバーラップした仕事範囲となる。彼らがメーカーとして実装していく上での担当エンジニアの方たちへの開発委託を行い、発生した疑問や課題を会社としての我々にぶつけてくる。ソースコードやドキュメントを広げつつお客様の質問を正しく把握して回答や回答を出せる技術者へのナビゲートを行うということになる。

何らかの得意ジャンルがあり、こうした組み込みソフトウェアへの基礎素養がある人材であればキャッチアップしつつサポートという仕事は達成しうるのだ。こう確信していたのでT君の伸長は計画通りであった、また時期を同じくして採用した若手候補技術者のT2君については、ある意味でいまどき技術者の姿を垣間見たようで残念な結果となった。半年あまりの試用期間の中で外資という枠での言葉の壁が立ちはだかり彼はキャッチアップすることも出来ずに去っていくことになった。基礎素養があれば、若さは可能性だと考えてきた私達の世代は取り合えない姿があるように見える。若手技術者との間にある四半世紀あまりのギャップをこちらからの感性だけで推し量るのには無理があるらしい、ソフトウェアからのソースコードのトレーシング能力を買ったのが彼の採用だった。ソフトウェア派遣技術者として基地局システムの開発に実際に従事してきた中で培ったものなのかも知れない。納期までにともかくソフトウェアを動作させるという最近の風潮の中で彼はそうした力を蓄え、そうした仕事に辟易し転進したかったようだった。

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業界独り言 VOL249 次世代のソフト開発とは

暑い夏が、帰ってきた身に堪える。米国への三泊五日の仕事で休みを貰った月曜には作りかかりの無線機の組み立てもようやく二日目を迎えた。この日の成果としてはケース前面などが出来上がった。目に見えた成果が積み上がってくるのはキット作りの楽しみであろうか。世の中の電機業界の情勢は、いろいろらしくV字回復を遂げた電機メーカーのトップが気勢を挙げていたりするようだ。リストラを完了して企業としての体力回復を果たしたということも要因とはいえ、強い商品が台頭してきたこともあるのだろう。最近の強い商品というキーワードに関していえば、ソフトウェアが欠かせない要素というよりも、この開発方法や取り組みでコストが変わってしまうという事情がある。V商品を台頭するにはソフトウェアの開発力が欠かせないということになる。

日中韓の三国でLinuxをベースとする基本OS環境を開発するという話が出てきている。他方でLinux自体の自由さを阻むようなきな臭い訴訟も始まっている。Linuxのベースとなる技術がATTのUnixからの派生であるというのならば、確かにまったく異なるというのは言い切れないのだろう。Copy文化が蔓延している日中韓という三国において、Copy文化から生み出されたLinuxを利用するということは素直な流れといえるだろうし、版権やライセンスを主張されるMicrosoftなどからの離反をしていくということも多くの背景にあるのだろう。日中韓で進めようとしている矢先に、Linuxの基本線が崩れてしまったらどうなってしまうのだろうか、三国で出資してライセンスホルダーである会社を買い取ってしまえば問題は解決するはずである。逆に、その会社をMicrosoftが買い取ってしまったならばどうなってしまうのか。いつか見た風景のフラッシュバックしてしまうのは私だけだろうか。

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