業界独り言 VOL318 輝く瞳に乾杯

組み込み開発の時代の変遷が、大きく舵取りを始めている。ここ二年余りに国内の端末メーカーに提案をし続けてきたことがようやく地に足をついた形で始まろうとしている。端末開発という仕事の流れの中で 、開発の主体が企画をしているOEMメーカーから離れてソフトウェア開発を実業となす形態に移行しようというのは画期的な出来事であるかも知れない。端末メーカーが主体となって企画から開発を全て担っていた開発の流れが通用しなくなってしまったのは開発コストの増大と共に開発成果を生かしきれない開発規模の小ささが国内メーカーの弱い点でもあるからだ。完成度の議論や端末の格などという向きもあるかもしれないが、ノキアなどの開発規模の大きさは圧倒的なものであり、国内の大手キャリア のみに納めることで採算を確保しているという現状に未来はありえない。

海外端末の開発競争にさらされて撤退したり巻きなおし図ろうとしている日本の端末開発の実情は生産性の低さを示しているのか、結局自国の経済格差と技術力のバランス比率が崩れてきたということなのだろうか。組み込み開発の仕事が次々と減ってきているという話ももれ聞こえるのだが、まあ携帯電話の開発のことを指しているからかも知れない。そこそこの性能の端末と評する低価格な第三世代携帯が中国・韓国メーカーから登場してきたことが一つのきっかけだろうし、早晩そうしたメーカーも技術をキャッチアップしてくることが想定され自分たち存在理由を問われることになるからでもあるだろう。コンシューマー化を遂げたハードディスクレコーダーのようなプラットホームを適用さえすれば誰でも簡単に出来上がってしまうような状況に突入しそうな状況でもある。

チップセットビジネスに踏み出してCDMAを推進してきたQuad社でも、モデム機能から踏み出した形でアプリケーション中心の流れに踏み出してきた。アプリケーション志向に踏み出していくという流れは、転職するころから具申もしてきたし、実際に着メロなどをきっかけとしてDSP活用という形でのアプリケーション志向を技術開発の流れとなった。多くのベンチャーが音や映像の技術を提示しながら活躍の場を求めてQuad社の門戸を叩いてきた 時代には、頼りなげだった渉外担当もマルチメディアマーケティングのボスになっている。顧客先に提供する機能の多くも携帯電話として必須となってきたメディア再生・録画・グラフィックス・テレビ電話・・・など次々と広がりを見せている。ストックオプションを得て悠々自適のはずの仲間たちも技術に携わることで生きがいを感じているようだ。

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