業界独り言 VOL288 横浜事変

国内で相も変らぬ通信キャリア間の開発競争を続けている間に、開発成果の実を挙げている新しい開発の流れが海外で立ち上がろうとしているようだ。端末開発という仕事が、共同開発をしても採算が取れなくなってきている国内の事態とは何が異なるのだろうか。開発費用という観点で追求してきた流れが共通プラットホームの上でアプリケーションの流通を図ろうとしている動きと、現実にはすぐに選択できない方法論を実証実験として取り組んでいる動きなどを巧みに織り交ぜている会社もあるようだ。無論成果がよければ切り替えていくための開発投資という見方をすれば積極的な取り組みであると私には見える。現在に流されたような仕方で開発を進めているような仕事のみではエンジニアのリサイクルが必要になるだろう。

開発管理という意味を追求していくことには、真の競争力を追求していくことにリソースを最適化していくということに他ならないのだろう。開発の主要メンバーが中国に移動して渇をいれながら新たな開発協力会社を育成していこうという仕事も一つの方策である。国内の状況だけでは見えてこないこうした様々な状況を正しく社内に展開して理解が得られているのかどうかは別の意味で技術管理としての課題である。社内エンジニアが自社の開発方針、技術指針に対して疑問を投げかけられているような事態となっているのでは勿体無いのである。リーダーエンジニアからのアラームが経営陣に届かないでいるような事態はありえないはずだ。

まったく自社リソースを掛けずに協力会社のリソースのみで開発の新しい姿に挑戦しようとしているのも凄いことだ。国内での開発管理経験を適用して、アジアの技術開発協力会社との協調に取り組んでいる。プラットホーム提供元との接点を国内の子会社を通じて行なうことが必要なので、なかなか主体的に取り組めなかったりするのは課題でもある。アジアの技術開発協力会社がODMメーカーとしてデザインを提供するというスタイルが始まってきた。CDMA2000もUMTSも実際の商品が出始めているのだが、いずれも中国からだ。まだまだ日本のメーカーから見れば稚拙に映るのかも知れないが侮れない事態だと理解するべきだ。彼らは、開発実績と低価格を武器に多くのクライアントにデザインを共有提供しつつ、更なる独自の技術蓄積を果たしていくことが出来るからだ。

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業界独り言 VOL287 簡単なことが難しい

師走を目前にしてサンクスギビングやクリスマスカード、年賀状の手配といった行事への対応が要請されはじめる時期となった。日程を押して徹夜をしてまでのサポートに嵌ったりしているのだが、どうにも簡単なはずのことが中々出来ていないということばかりである。確かに様々なお客様が取り組んできたバラエティに富んだ端末やソフトウェアを見ていることから、隣の芝生が青く見えてしまうキャリアや参加してくるお客様が増えてきていることも事実なのだ。誤解ではないにしても、理解不足な点は否めないのは事実だろう。全てをQuad社が実現している訳ではないし提供している部品群の上に立脚して今までもミドルウェアを移植実装してきたOEMメーカーでの地道な実績やノウハウがあってのことである。そうしたノウハウの全てをQuad社が知りうる筈もないのである。差別化の部分というか、お客様のカスタマイズの範疇としてきた部分には、お客様の範疇の仕事があり、プライスレスな今までの成果というノウハウの部分となっている。

Quad社が提唱してきたバイナリー環境の認知度も高まりを見せてきていて、お客様のアプリケーション設計を全て賄えるところに届こうとしている。チップ事業部が提供しているソフトウェアパッケージも呼応する形に変化してきているし、最近の新しいお客様の求めている姿は新聞紙上を賑わすような、自社開発路線からの切替などを機軸に出来る限りアウトソーシングの上で製品開発が達成できるようにという彼らの姿からも窺えるのである。とはいえ、日本の携帯端末の奥深さをQuad社だけで達成しうると考えるのは早計でありミドルウェアメーカーとの連携などの上に拠って実現されるものとなるのは明らかである。お客様自らの社内の経験値やノウハウを利用して自社開発していたのではコストが合わないということであれば、アウトソーシングしていくなかで如何に活用できるのかという点が鍵となるはずなのである。日本の携帯端末開発地業界では、既に自社仕事という内容事態が衛星会社を通じての実務となっていて事業推進母体となっている親会社の指導だけでは活用が難しいということになるのだろうか。

なんでも出来る限りのサポートをして欲しいという要請が出てきたのは、中国向けの端末開発を検討しているお客様からだった。まあ世の中に残された大きな市場というもの自体が中国にしかないというのも事実なので、新しい市場に向けて新しい仕事の仕方で臨みたいというのは自然な姿だといえるのだろう。理想を掲げて、管理のみで新たなビジネスを立ち上げられるのかどうかはお客様のお手並み拝見という所でもあるものの、サポートする立場でいえば通常のお客様以上のサポートをどこまで提供するのかという点については戦々恐々としているところでもあった。新規な戦略提携としてのお客様開拓という目的に提示した内容は限られた内容であり、ドライバーのサンプル提供などで済むはずだった。自分達の分を超える作業については、拡大してゆく市場を見据えての適応策をとりつつの取り組みもQuad社が考えるサバイバルゲームへの対応だった。サポートしていく範囲がお客様以外にも広がってきたのは戦略的な取り組みといえるので前向きなりソース投入であり、けっして後ろ向きな取り組みではない。

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