業界独り言 VOL289 この指とまれ

不況の中で、携帯業界も様変わりをしつつあるようだ。正確には携帯業界が不況だとは思わないのだが、世の中の仕組みの変化に追従できずに対応しかねているということだろう。チップ作りを生業にしている人にしてみれば、毎年とにもかくにも端末切り替えをしてくれる市場がどこにあるのだろうかということにもなる。無論そうした端末切り替えを支えていくための機能実現やコストダウンの要請が厳しくなっていくのは当たり前の話であり、その為の技術追求や研究が各社で為されてきているはずなのである。単なる件名消化のために、協力会社の技術やリソースに頼って作り上げるような仕事の仕方が通用するのは建築業界くらいのものではないのだろうか。携帯バブルの時代といわれていたときにはそうしたビジネススタイルも許容出来たのかもしれないのだが、そんな時が長続きするはずも無く沢山の開発を通じて、育成してきた社員リソースを駆使して最新技術で物作りに邁進していけば良い・・・はずですね。

まあ、開発リソースの投入の仕方が変わってきたように映るのは今年に入ってからの傾向でした。従来であれば、端末メーカーとの仕事に忙殺されているはずのソフトウェアハウスの仕事が、ミドルウェアベンダーなどに移り変わってきていたからです。ソフトウェアハウスの方が横展開あるいは新規事業的なアプローチを始めているのも、そうした表れなのでしょう。実際に新しいビジネスを模索しつつ、新たな開発を通じて、新たなスタイルでのデザイン成果一式を売るといったことを始めている事例などが始まっている。いわゆる、「この指とまれ」といったスタイルであろうか。横展開を自在に操ろうとしているベースには、デザインハウス自体がチップメーカーとの間でソフトウェアのライセンス契約を行い、自らの手で評価設計を行い顧客のニーズに基づきカスタマイズを受注するというモデルになる。さらに進んで生産をEMSに委託してその生産システムの為のソフトウェアまでも受託するといった動きもあるようだ。

実際にそうした、真っ只中でのサポート仕事を通じて国内への波及は来年からかしらと思っていた。北京に赴いてそうしたスタイルで開発されているお客様やデザインハウスのサポートを先だっての週末に行った。急遽の金曜日のミーティングだったのであるが、案の定半日では済まずに翌土曜日もデザインハウスでのサポートをすることになった。急な延長で土曜日の夜は予定が空いてしまったので、北京で仕事をしている別の端末メーカーで働く知人と夕食をとることになった。およそ10年ぶりの再会ではあったものの互いの過ごしてきた時間のギャップを埋めつつコーヒーを飲みつつ談話となった。北京で3G開発の仕事を進めている知己にとっては、やはり前向きな開発を進めているベンチャーデザインハウスからの打診なども受けていたようで時期などを確認してみると、国内メーカーとの仕事受注が確定してからという時期に符号していたようだ。色々なチャンスで前向きに仕事を広げるための画策をしている姿はベンチャーらしいといえる。

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