業界独り言 VOL140 きな臭い未来

我が家では修理依頼したDVDレコーダが修理先から連絡も入ってこない、たまたま大きな問題とならないのは、最近適当な番組がないからでもある。システムとしての課題は、デジタルBSの録画配線が宙に浮いていることだった。週末に屋上のケーブルテレビからの入力配線を見直してカシメ直したことでNHKの画質が平均レベルに戻ったために細君の希望するBSドラマやNHKについては従来の系統で録画することが可能になっていた。

「Sで取るほどでもないのよねぇ。」と年末の大売り出しで購入したビデオテープの箱入りから取り出してつぶやいている。そうした目的にはハードディスクレコーダが目的に適っているのかもしれない。しかし、一時的にしろの容量や新しいマンマシンインタフェースの機器を導入するのは慎重を期する必要がある。なにしろ日常のことなのだから。単純な操作を確実に解りやすく行わせることは大変な技術である。

長年の積み重ねで日の目を見始めてきたものは仲々良い状況になっているように映るものがある。実は、このメールは超漢字4と呼ばれるBTRONベースの物で書くようになった。最近はやりのHTMLメールを打つことは出来ないが、逆にシンプルなテキストメールのハンドリングにはマッチするような感じだ。BTRONの作法といえば、坂村助教授が良くNHKの番組で深夜などに説法していたような気がする。実際使い勝手で不自由に感じる点もない。

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業界独り言 VOL139 組込み機器とゲーム開発

デジタル機器の登場で、物が壊れなくなるかと思いきや以前以上に予期しない故障が発生するようになっている。アナログ機器と違い、とつぜん故障に遭遇するというのがデジタル機器の故障である。昨年導入された、我が家のDVDレコーダが、突然音声がデジタルノイズの発生器になってしまった。どこかの、バイアス回路でもおかしくなったか、あるいは使っちゃいけない部品でも使ったのかは不明だが。
 
我が家ではVHS以来、そのメーカー以外の録画装置は存在しなかったのだが、そろそろ別の血を導入しなければならないのだろうか。昨年発表された、このDVDレコーダは購買層を刺激する起爆剤になりうる価格や機能を宣言されていた。実際、数ヶ月あまり使って重宝してきたDVDレコーダが無くなることは極めて不便な状況を強いられる。もうVHSで録画などしたくなくなるのだ。答えはハードディスクレコーダの導入を含めたビデオレコーダシステムの二重化である。
 
確かに利用する側からみて、複雑なアプリケーションとしてのGUIがこうしたデジタルレコーダ機器に搭載されているように見えることである。DVD-Rでは、録画後に最終化というステップを踏まなければならない。この為にタイトルをインプットするのだが、PCでは簡単なことが不自由なUIで入力しなければならない。無論、逆にこれらの機器にIPアドレスを全て振り、webサーバー的に行わせることが出来ればUIも統一化されようが、その為にLモード端末にイーサネットを接続するのもぞっとしない。
 
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業界独り言 VOL138 K君からの葉書

いつも綺麗な葉書を呉れるK君という後輩がいる。年も明けて気がつくと賀状が来ていなかった。イラストの得意なK君であり来ていれば気がついていたはずだったのだがと年賀状の整理をしたのだが、やはり来ていないようだった。同様に毎年、明るい感じの性格のままな年賀状を戴いている先輩からは年賀状が届いていた。いつも直ぐに住所を見ないでも選択したデザインの印象から、その先輩だとわかるのだ。文面には、割とショッキングな一文が書かれていた。

先輩からの年賀状には、「新年から技術部から購買部へ異動となります」と書いてあった。永年の先輩を知るものとしてハードウェアシステム設計において多年に亘る基本部品の選定や先進技術の導入など確かな眼を持ちシステム件名などの長寿な商品設計を行ってきたのである。こうした電機業界の常として昨今の最新動向の無線通信システム開発に携わってきたのであるらしいが、もう開発を終えて量産体制に移行していく時期に入ることから主体が変ってきたのかもしれない。経験を買われての人事異動とお見受けした。

そんな先輩と新年会も兼ねて食事をしたのだが、いつも綺麗なカードを呉れるK君が気にかかり近くなので誘ったところ後半合流してくれた。週末は雪深い実家に帰っていたことも手伝い賀状の送付が年越しになってしまったというのが実情だった。心配はいらないかと思うと何だか会社のトップに直訴を申し込んでいるというただならぬ話だった。かつて無線業界の会社に気の短い技術屋がいたのを思い出し、同じ轍を踏むなと釘をさした。しかし、会社トップとの話し合いにまで持ち込めたのならば新しい歴史が始まる可能性もある。

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業界独り言 VOL137 ヒロシ&キーボード

私の知り合いには沢山のヒロシさんがいる。昔の歌ではないが、キーボードの似合う人が多いようだ。昨年の最終日には、わが導師である宏さまからのご参集がかかり忘年会と相成った。昨年同様集まった神田の鳥料理の居酒屋は、当日が最終営業日となり閉店されるとのことでもあった。厳しい世の中の反映ではあるが、店員の方も明るく頑張って勤めているようだった。ソフトウェア技術者として導師と尊敬する宏さまは、PCの世界をある意味で背負って立つ御仁でもある。

導師を慕い集う仲間は、ソフトウェアのユーザーであったり出版サービスであったりはたまた中華料理屋も副業で営んでいたりと様々な人たちである。「この業界をなんとかするんだ」と息巻く元気の良い技術者もいた。導師とのやり取りは、その後の三次会までもおよび立ち飲みをしつつ最終ラウンドは京浜東北線にまで持ち込まれた。鶴見までの年末ラッシュアワーの中でも決着は見なかったものの彼は技術書の翻訳を自分で進めているようでこれをベースにマトモナ本として、これを書き上げようとしている。

携帯電話業界にあって若手の育成をしつつ先端のソフト開発に携わっている裕さんがいる。横須賀までの遠距離通勤も実は横横道路で海老名近くから夜中に突っ走りつつ通勤されている。かつては半年かけてアセンブラで開発用のクロスアセンブラを開発していた裕さんではあるが、最近ではUMLで書かれた通信プロトコルの開発をしている現場への指導をしているようだ。勉強は常に必要なのがこの業界なのである。夜中には気がつくと自宅についていると豪語するのは手足を既にプログラミングしてしまったロボットにしているようだ。

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業界独り言 VOL136 新世紀の最初の年の瀬に

先回に聞いた次のフレーズ「頭の中がアセンブラーで出来ているんだ・・・」は、眩暈がするほど悩ましく頭の中でとぐろを巻いている。開発現場で起こっている現実を前に、何から手をつけてよいのか判らないというのが実感だ。以前クロスコンパイラを開発した際には、アセンブラのノウハウをコンパイラのコード展開に組み込むことに費やした。しかし、その場合にはコードの生成結果とソースコードからの対応でアセンブラ技術者としてみて文句をつけたいから手を入れたのだった。

あれから17年も経過して世の中にはC言語でハードウェアすら記述する時代だったりもする。パソコンで不毛なクロックアップ競走が引き起こした成果なのか、重厚長大なソフトでも気にならなくなってしまったようだ。結果として充実したクラスライブラリなどでの迅速な開発での開発時間短縮のみが評価されるようになった。これにより真の速度の追及までは、要望されていないのが実情だ。もともと利用するソースコードの内、お絵かきをしているようにも見えてしまうUIジェネレータなどが生成したソースコードなどもあるのだから致し方ないのだろうか。

ともすると、今の若い人たちにとって出来上がったCソースコードはそうした上位設計ツールの吐き出した機械語に見えるものなのかもしれない。現場のドライバーを設計している技術者すらCソースでの制御を昔の機械語のように捉えているようだ。となるとコンパイラが更にCコードから生成した機械語の為の最適化などは、魔法使いの領域になってしまうのだろうか。コンパイラの最適化指示によっては、こうした冗長なコードでも高速なコードとしてコンパイルしてくれるものもあるのかもしれないが・・・。

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業界独り言 VOL135 忘れたはずのアセンブラ

世の中は、皇孫誕生で少し盛り上がりをみせて、先日までのテロリズムの影響による物々しい警戒態勢から少し変貌を見せたのだろうか。六本木界隈で仕事をしている知己は、隣接する米国大使館での警備状況について変遷を語ってくれた。ピークではミラーを使って駐車している車の車体の下から確認するといったレベルで調べまわっていたようだ。セキュリティを維持するためには致し方ないだろう。アメリカ大使館の中からは、のんびりと肥えた牛蛙が出てきたりするそうなのだが・・・。

年末でクリスマス休暇を目前にして米国チームも休暇モードに続々と突入宣言している。先日送付したクリスマスカードの返事が届いたり、アニメーション付きの賑やかなWebメールが入ってくる。年末にかけてのソフトウェアリリースは、既にテストチームに引き継がれているために開発やサポートチームは次々と休みを取っている。当然キーマンはリリース前後の処置を行うために出てくるぞと予定を通知してくる。開発プロセスに則ったリリース作業は進行して日本のお客様にクリスマスプレゼントとして送付される。受け取りたくないプレゼントを前に不幸な冬休みを迎えてしまう人もいるかもしれない。

組み込み作業などをかっちりと行い問題点を絞り込み休みを終えて英気を養った米国開発チームや支援チームに適切な質問やデータを送付する態勢を支えているのは何有ろう電子メールなのである。残念ながらリリースするソフトウェアのボリュームやセキュリティの観点から全体のリリースについては電子メールで送れる状態ではないが、関連ドキュメント単位ではセキュリティ確保などを含めてWeb経由でダウンロードできるようになってきた。リリースするドキュメントやソースコードやオブジェクトはまだCDROMに焼ける範囲ではあるが、キャリアからせっつかれる中ではシッピングの時間すら貴重なのだ。

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業界独り言 VOL134 チップライセンスビジネスの使い方

賞与も出て世の中は明るくなるかと思いきや、まだまだ大変な様子である。知己の方を囲んだ忘年会や一足早いクリスマスパーティなどで内輪では盛り上げているのだが・・・。QUAD社で提供しているチップセット搭載端末が色々な特色を持って出てきた。溜池や信濃町の製品とは一味違うものがある。そんな中で割と素に近い味の端末でバイナリアプリを搭載できた端末は、チップセットの古さ感じさせない性能を見せてくれたのである。しかし、まだこの端末は世の中には出ていない。年明けの業界への起爆剤でもある。

Javaも良いだろうし動画もよいだろう。WCDMAの実装で苦しむキャリアに比べれば良い条件に見える。GPS衛星機能が基地局が同期したシステムにはマッチもするだろう。WCDMAに向けたビジネスもチップ展開が出来る状況にはなってきても世界から見た日本という市場の一時的な混乱対応にしか映らないのも事実である。世界に目を向けつつある国内メーカーにとって苦行となってしまった国内仕様のPDCとWCDMAの機器開発と国際規格の機器による欧州市場などのギャップは大きい。各メーカーのトップの方々の抱負(?)が師走の日経エレに記載されていたりする。年初に持ってくるのには暗い内容だからだろうか。

各社ともクリスマス商戦あるいは、サンクスギビングといったイベントに向けてタイミングを合わせて投入しようとしているのだが中々タイムリーに商品展開することが難しいようだ。新機軸を打ち出そうとするキャリアや新市場に向けて取組むメーカーといった組み合わせではリードをどちらがとるのかが鶏と卵に陥ってしまうこともある。サービスに走ろうとしてている通信キャリアと新たな分野への挑戦で一杯のメーカーとしては中々歯車がかみ合わないこともあるだろう。

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業界独り言 VOL133 優れた端末に未来を見出す

先月既に、初芝電器あるいは初芝通信を卒業された方達との忘年会を行った。QUAD社からは四名が参加した。通信キャリアの方や、通信メーカーの方や、インキュベータの方あるいはコンテンツ業界の方など多彩な顔ぶれだった。初芝との関係もライバルだったり顧客やクライアントだったり色々である。通信キャリアの方とは、翌週には仕事で訪問して自社チップやソフトウェアの紹介を行った。なんだかデジャブのようで、基本ソフトの開発をして売り込みにいくというスタイルは以前の会社でもあったような気がする。相手が知人なだけにそう感じたのかも知れない。

端末システムの開発ということを考えてみると通信プロトコルの実装から始まり、無線制御や周辺装置とのドライバーの開発、アプリケーションの開発など多彩なことが必要となる。確立した無線プロトコルや無線方式であっても大変な作業である。QUAD社のプラットホームを持ち出してみてもユーザーが保有するプラットホームに合わせていたアプリケーションを稼動させるのには大変な作業となるようだ。切り口が明確であれば、簡単にも思われるのだが・・・。

新たな通信システムとして基地局から端末からプロトコルからを開発していくのは、ARIBの仕様や規格を決めていくことからの多年にわたる標準化作業などを含めて、またもっと大変な作業でもある。数が出る携帯電話や無線LANのような市場であれば、そうしたことに割ける予算やリソースもあるのだろうが、現在の市場規模から限られた範囲をターゲットにした特殊なプロトコルを開発する場合などは、それを必要とする意欲の有るメーカーの技術者が精力的に参加して推進していくことが必要だ。

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業界独り言 VOL132 翔んでゆく人々

電機業界で吹き荒れる早期退職制度による、業界の活性化という動きの第一ステージが一段落したようだ。10%を越す人たちの人員削減という会社側のメリットと新たな事業に向けた起業家の登場を助長しているという見方もある。初芝電子において携帯チップの開発を経験していた知人の円川氏が米国駐在の経験を通して新たな自己挑戦に入るという話を聞いたのはもう数ヶ月も前の事だ。

海外経験を積みグローバル化を体験した人たちのその後の生活は、意識改革という点でも大きな差が出てくるようだ。全ての人が翔んでしまうわけではないのだが、ベンチャー精神旺盛な意識でかつグローバルな視点や付き合いを実現して仲間の輪を広げて取組まれていくのに慣れてしまう。そうなると時差の有る本国・本社からの指示や計画が自分で見聞きする情報との差異に思いがいってしまい悩みが鬱積してしまうのかも知れない。

といって残された会社人生という枠で考えて、自分自身の生活が出来れば良いと考え、楽しく過ごせるかどうかという観点で見てみる人も多いだろう。もしそうした観点で限り有る残りの会社人生での過ごし方について大企業病に陥った人たちが意識無く残留しているとすれば無為な方向を自分で見極めることも無いままにいるとしたら現在の破綻した状況でのビジネス維持を進めていくことで傷口はふさがることは無いだろう。

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業界独り言 VOL131 プライオリティの問題

携帯電話の端末システムは、ITRONなどのリアルタイムOSで設計されている。様々な機能を実現しつつ基本機能となる電話通信機能を確保していくというのは骨の折れる仕事でも有る。低レベルの処理から高レベルの処理までRTOSの制御下で行われている。PDCでもCDMAでも肝となる部分はハードウェアで構築されている為にこうしたハードウェアの制御をする部分には時間制限のあるリアルタイム制御が必要となるのである。

かつて携帯電話の競走は、待ち受け時間の競争であった。現在でもカタログには記載されているが実際に購入される方がこれを尺度に判断されているとは思えない。最良の待ち受け時間を実現していく為にはタイミングを吟味して必要な部分のみの電源やクロックを提供するように制御してようやく達成されるのである。マイコンで必要となるクロックまでも切断して補助の低速クロックに落としてかつ精度を維持しようとするノウハウなど幾つもの技術がそこには展開されている。

待ち受け処理として軽視しているわけではないが優先順位的にはリアルタイムの性能から低く設定されているのがユーザーインタフェースであるといえるだろう。会社によっては一番優先順位の低いのはウォッチドッグ処理だという会社もあるかもしれない。一番優先順位の低いタスクが規定時間内に応答しているという考え方かもしれない。ところがウォッチドッグの処理自体は規定時間内に処理を必要とするリアルタイムな処理であり制御が渡らない可能性のあるようなシステム設計ではNGなのである。

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