軒を貸したら母屋を取られる・・・・というわけではないが、無線通信の歴史ある無線業界と携帯の業界は乖離してきたように感じられる。かつては、無線といえば米国の某社であり、初芝通信などは、シカゴのそのメーカーを目指して追いつけ追いこせを進めてきたように思い返す。皆、ベースにあるのは自動車に取り付けた警察やタクシーの無線機であった。
無線機の最終ターゲットは一人に一台持たせることであった。どこでもだれとでも通信できるような時代を夢見てきていたのかもしれない。超再生のおもちゃのトランシーバーがあって、中学高校生はFMのアマチュア無線で遊び、海外通信などに短波のSSBやCWに耳を澄ましている時代だった。趣味の王様は、いつのまにか裸の王様になって身包みはがされてしまったようだ。
21世紀を目前にしてそうした目的は達成できてしまった。世界中どこでも通信できるという衛星通信のシステムも構築されたが、シャットダウンしてしまった。定期便の飛行機のように月までいけるはずのパンナムのロケットは、パンナム自体がなくなり、まだ毎回のロケットの打ち上げ直前に部品不良などのトラブルにおびえている。安心して飛行機の整備にゆだねるというところまでは到達していない。